第二章 大家族 ページ13
雛菊side
黄「ん…?わっ…。」
橙「ああ、起きた?調子どう?足痛ない?」
目を薄く開けて、最初に飛び込んできたのは八の字眉の顔。
びっくりして目を見開いた。
黄「あ、あの…。」
青「照史くん、そない一気に言ってもうたら分からんや
ろ。」
橙「すまんすまん。」
照史くんと呼ばれた人は、八の字眉を更に下げて謝ってきた。
ちなみに、“照史くん”に注意をした人は、整った顔をしていた。
以前、お客さんが見せてくれはった浮世絵みたいな…。
ていうか、ここどこや?
俺、どないしたんやっけ。
橙「君、その怪我で熱出てしもたんや。たぶん今は大分下がった思うけど、一時は凄い苦しそうやったんやで。」
青「照史くん、名前言わんと。」
橙「ああ、すまんすまん。」
その言葉、二回目な気がするわ。
そういえば、大分深く足切ってしもうたんや。
橙「申し遅れたわ。俺、照史いうねん。
この家の次男やで。」
青「俺は流星。この家の五男で、神ちゃんと双子。」
黄「照史さんと、流星さんですね。…ん?待ってください。
何人兄弟なんですか?」
橙「俺らは六人兄弟やで!」
照史さんが元気よく言う。
六人…多いわ。
お母さんめっちゃ頑張ったやん。
橙「びっくりするわな。でも、ほんまは七人兄弟なんや。
一番上に“淳太”っていう兄貴がいるんやけどな。
十歳の時に亡くなってしもて。」
照史さんが困ったように笑う。
橙「…なんてな。暗い雰囲気になってしもうたわ。
神ちゃん呼んでくるな。…あっ、せや。
俺のことは“照史さん”やなくて“照史”って呼んでや。
そっちの方が慣れとるし。」
青「じゃ、俺は流星な。
流星さんなんて、違和感しかない。」
照史、は笑いながら“神ちゃん”を呼びにいった。
仲のいい兄弟だ。
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作者名:百瀬 花楓 | 作成日時:2020年2月29日 20時