7．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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「っ、じんぺーちゃん！あれ！！」


『やっぱり奈良の大仏って言ったら豪福寺っしょ！』



「はっ、お前らの予想は見事的中ってことか」


「ったく、このご時世にとんだ罰当たりな奴らが居たもんだぜ」








＿＿＿＿＿＿日も落ちてきて、奈良の街から殆どの人が居なくなった頃。


奈良の上空をゆっくりと飛びながら双眼鏡を覗き込んでいると、豪福寺の中を出入りする人影が数人見えた。



きっとあれが、赤いシャム猫さん達の仲間。





でも、これ以上近づいたらヘリコプターの音で犯人さんに気づかれちゃう。


奈良県警の人とはさっき航くんが連絡を取り合ってたけど、どうしよう。

このまま様子を見ているだけでいいのかな。







「＿＿＿＿＿＿ハギ、ついにお前の出番だ」



「え、研二くん……？」


『……あー、なるほどねぇ。そういうことか』








下を覗き込みながら分かり合ってる二人の間で、私だけがきょとんと首を傾げる。



研二くんの出番って、もしかしてここから犯人さんを捕まえてこいってこと？

でも、研二くん一人じゃ犯人さんに触れることは出来ないし……。




そんな思考を遮るように、じんぺーちゃんの頼もしい腕がひょいっと私の体を抱き上げる。


そしてあいた方の腕を虚空に伸ばすと、全てを分かっている様子の研二くんが、手首ごとじんぺーちゃんの手を掴んだ。








「班長、報告書での言い訳は頼んだぜ」


「はぁ……お前らのお守りはとっくに終わった筈だったんだがな」








＿＿＿＿＿＿必ず捕まえてこいよ。


航くんの言葉が機内に響き渡った次の瞬間、私を抱えたじんぺーちゃんが勢いよく空へと飛び出して。




刹那＿＿＿お昼にも感じた、ふわり、と体が宙に浮く感覚。

咄嗟に瞑った瞼を開いて、世界を見下ろす。




するとそこでは、じんぺーちゃんの手を掴んだ研二くんが、地上へゆっくりと下降していた。








「わぁ……！」


「こりゃハギにしか出来ねぇ芸当だろ？」








じんぺーちゃんが言ってた【出番】っていうのは、これのことだったんだ。

だから私のことも抱っこして。




人が殆ど居ない今だからこそ出来る、研二くんの技。


静まり返った奈良の景色は凄く綺麗だけれど、少し、物足りない気もした。








『いやぁ、この体が重さを感じない体でほんと助かったわ。でなきゃ俺ずっと叫んでるからね？腕もげるー！！つって』


「研二くんはいつも叫んでるからそんなに変わらないよ？」




『やめてAちゃん。それ以上は研二くんが泣いちゃう』








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