7．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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「＿＿＿＿＿＿蘭さんも、出てしまったんですね。発疹」


「はい……園子や子供たちに感染ってなければ、良いんですけど」








そう言って半ば無意識に二の腕を掻く蘭さん。



こんな時まで他の子達の心配をするところは、どこかAに似ているような気がする。


武道の心得があるということで、敵を見誤ることはあまり無いようだが。





……うちの馬鹿はどんな相手にも突っ込んでいくからな。


松田が「心臓がいくらあっても足りねぇ」と嘆いていた気持ちがよく分かる。









「……あの、」


「はい？」








なるべく皮膚と触れ合わないよう手すりに背を預けて外の景色を眺めていれば、おずおずと言った様子で声をかけてくる蘭さん。



それにお得意の安室スマイルで反応を示せば、彼女は少し安心した様子で再度口を開いた。








「安室さんにとってのAちゃんって、どんな子なんですか」



「どんな感じ、ですか」


「はい。その、なんていうか……Aちゃんと居る時の安室さんは、普段の安室さんより自然な感じがして」




「……」








俺にとってのA、か。

……改めて思えば、考えたこともなかった。



初めはただの調査対象に過ぎなかった。

俺達の潜入に支障をきたすかもしれない、危険因子。




それなのに、いつの間にかアイツは俺達の真ん中に立っていて、そのことに不思議と何の違和感も抱かなくて。


アイツの存在が常に頭の片隅にいる事が、寧ろ当たり前となっていた。







「……生意気な子です」


「え、生意気、ですか？Aちゃんが？」




「えぇ。まだまだ子どもなのに、妙に物分かりが良いところとか。それでいて変なとこで全然譲らないところとか。一体その頑固さは誰に似たんだーって言いたくなります。その他にも、僕たちの扱い方を誰よりも熟知しているところとか、おねだりが上手いところとか、挙げていたらもうキリがないですよ」







初めて出会った時から今まで、アイツはずっと生意気な子供なはずなのに。







「……でも、そんな所も愛おしいと思ってしまってる僕は、きっともうあの子には勝てないんでしょうね」


「ふふっ、安室さんでも勝てない相手がいるんですね」



「ちょっと蘭さん、僕のことなんだと思ってるんですか」







喫煙所の中の雰囲気も幾分か和んできた頃、部屋の前に近づいてくる数人分の足音。


さて、そろそろこちらも動くとするか。







「っ、安室さん！」


「全く、待ちくたびれましたよ」







＿＿＿緑川さん。







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