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______あれからどれほどの時間が経ったのだろう。
コナンくん達の居なくなったラウンジは、依然赤いシャム猫の支配下だ。
おまけに先程、二の腕に発疹が出た蘭ちゃんも喫煙室へと連行されてしまっている。
いっそのこと、俺も細菌に感染してゼロと合流した方が……そんな思考が頭を過ぎる。
「あとは頼みましたよ、緑川さん」
……いや、その選択肢を選ぶのは最終手段だな。
ここを離れて子供たちに何かあったら、それこそAちゃんに顔向けできない。
「______Aッ!!!!」
「っ、くそ……」
……今でもあの子が落ちる瞬間のことを思い出すと、気道を塞がれたかのように息がしづらくなる。
多分、一種のトラウマのようなものだ。
かつての記憶とも重なるせいで余計だろう。
だが、実際に死ぬかもしれない恐怖を味わったあの子に比べれば、こんなのなんてことないものだ。
落ち着け、俺。
あの子が生きていることは、この目で確かめたのだから。
動揺することなど、何もないはずだ。
《______キャットBなら屋根の上で伸びちゃってるよ。おかしいねぇ?猫は背中から落ちたりしないのに》
「この声は……」
天井からの物音に続き、リーダーの無線から聞こえてくるコナンくんの声。
彼の挑発に乗せられたのか、見張りをしていた男たちが次々と捜索に駆り出されていく。
折角の彼が作ってくれたチャンス。
……制圧するなら、今しかない。
《残りの人聞いてるー?リーダーやっつけちゃったよ》
彼を捕えるのに苦戦しているのか、ラウンジから着実に人が減っていき、残り一人となった頃。
ついに残った仲間の無線に入った声は、コナンくんからの勝利宣言で。
その瞬間、俺は真っ先に近くにいた男との距離を詰め、銃を弾き飛ばすように回し蹴りを一発。
ついで鳩尾に一発決め込めば、ものの見事に男は動かなくなった。
うーん、ちょっとやりすぎたか?
でもまぁ、相手がゼロじゃないだけマシか。
アイツが本気で殴ったら肋骨の一本や二本余裕で折れてるだろうし。
「……武装した男をこんな一瞬で片付けるたぁ、何もんだ兄ちゃん」
「え、あーいや、昔兄から教わったことがありまして。ははっ」
実際の兄さんなら武術より戦術を教える気がするけど。
ジト目でこちらを睨みあげてくる毛利さんに、俺は両手をあげて乾いた笑いを溢した。
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無糖(プロフ) - シンデンさん» すみません、表紙絵の方は少し厳しいかもしれません……💦ご期待に添えず申し訳ないです🙇♀️ (4月23日 23時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
FRISK。(プロフ) - 一気に読ませて頂きました!続き楽しみにして待ってます! (4月22日 6時) (レス) @page42 id: 6b38b8c85b (このIDを非表示/違反報告)
シンデン - 無糖さん» 無糖様返信有り難うございます。勿論モラルは守るつもりです常識と良識もって誠心誠意書かせてもらいます。とっっっても失礼なのですがあの、表紙の絵を書いて頂くことって出来ますでしょうか?もしも出来れば御願いしたいです。原作ファンも喜ぶと思うので… (4月21日 9時) (レス) id: 041e3f6835 (このIDを非表示/違反報告)
戦国娘(プロフ) - 更新待ってました!何気に浪速コンビとの絡みがここでやっと何だな〜と読みながら思いましたwww映画でも胸アツな2人だったので本編でも夢主との胸アツストーリーを楽しみにしてます😊 (4月20日 0時) (レス) id: 27df865018 (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - シンデンさん» コメントありがとうございます!私としても初のご提案だったので、返答が遅くなってすみません💦二次創作(三次創作?)の件ですが、作品元を明記する、本文をコピぺしない、等のモラルを守ってくださる場合に限り大丈夫です…!うちの子をよろしくお願いします! (4月19日 21時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
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