7．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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「……新一お兄さん、なんでここに居るの？キッドさんは？」







海に片足を入れた痛みでうじうじ泣いている研二くんと、その頭を容赦なく突くハトさん。


その様子を階段に腰掛けて眺めていると、何故か向こうから戻って来たのは、キッドさんではなく新一お兄さんとコナンくんで。




新一お兄さんは「キッドの野郎はもう帰ったぜ」って言ってたけど、キッドさんはハトさんを置いて帰ったりなんてしないと思う。


私がジーッとお顔を見つめていると、新一お兄さんの額につうっと汗が一筋流れた。







「いやー、その、ほら！今飛行船で蘭が危険な目に遭ってるだろ？だから居ても立っても居られなくてよ！ハハッ」

「……」



「……ハハッ」



「…………知ってるよ、キッドさんの変装なんでしょ」


《え、マジで？？俺普通に新一くんだと思ってたんだけど、え？？》







私も初めは本当に新一お兄さんだと思ってたけど、話してるうちに違う人なんだって分かった。

纏ってる匂いも違うし、ホクロの位置も違うもん。


新一お兄さんがキッドさんの変装なら、ハトさんがまだここに居るのも納得できる。



……新一お兄さん、会いたかったなぁ。

騙すなんて酷いよ、キッドさん。







「わ、悪かったって、A。ちょっとした冗談のつもりだったんだよ。……ほ、ほら！お詫びにマジック見せてやっから！な？な？これで機嫌直しちゃくれねぇか……？」



『月下の奇術師をここまで動揺させるうちの子最強すぎない？』







いじけたように小石を蹴飛ばす私の目の前で、パッとお花を出してみせるキッドさん。



白色の薔薇。

ハトさんの羽の色とお揃いだ。







「わぁ……！すごいすごい！ありがとうキッドさん！」







お花を持ってピョンピョンと飛び跳ねる私に、キッドさんは「お嬢さんの機嫌が直って良かったぜ」と新一お兄さんの顔で微笑む。


中身はキッドさんだから、なんだか変な感じ。








「はは、オメェの変装でも騙せねぇ相手が居んだな」


「今んとこ一瞬で見破るのはAくらいだ。何が理由でバレてんのか見当もつかねぇ」

「今度からキッド対策にAも連れて行くか」




「マジで勘弁してくれ」








＿＿＿それから少し経って、コナンくんから飛行船への帰還作戦について教えてもらった私は、ここで一緒に警視庁のヘリコプターを待つことになった。




因みにキッドさんが新一お兄さんに変装しているのは、警視庁の人に見つかったら捕まっちゃうからなんだって。


キッドさんは泥棒さんだから仕方ないね。








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