7．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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「＿＿＿＿＿＿キッド、ちょっと良いか」









さっきとはまた別のところへ電話をかけていたコナンくんが戻って来たのは、それから数分くらいした頃のことだった。


親指で背後の建物を指差しながらそう言うコナンくんに、大きな欠伸を零したキッドさんが面倒くさそうに立ち上がる。




電話先で何か進展があったのかな？









「ったく、人が穏やかな時間過ごしてるって時に……悪いな、A。ちょっくら名探偵と作戦会議してくるわ」



「うん！私はここでハトさんと待ってる！」


「おう、頼んだ」









ハトさんっていうのは、ヤギさんが何処かへ行ってしまった時にキッドさんが出してくれた、嘴に模様のあるハトさんのこと。



さっきまで一緒に遊んでたけど、疲れたのか寝ちゃったみたい。


そんなハトさんを撫でながら見送る私に、キッドさんはニッと笑って頭を撫でてくれた。




もしかしてキッドさんも頭撫でるの好きなのかな。






温もりが離れていった頭を少しだけ押さえて、その手で腕の中にいるハトさんを撫でる。







キッドさんは何も言ってなかったけど、このハトさんはあの時怪我をしてたハトさんだ。



嘴にホクロみたいな模様が付いてる子だったから。

やけに研二くんに攻撃的だし。





もしかしたらキッドさんは、私にハトさんは元気だよって伝えるために、わざわざマジックで連れてきてくれたのかな。









「ハトさんの飼い主さん、とってもかっこいいね！」


「クルル」




「ハトさんもそう思う？」


「ポポッ」



「えへへ、そっかぁ」





『目の前の光景が幸せすぎて俺泣きそう』









返事は無いつもりで話しかけたけど、賢いハトさんだからちゃんと鳴き声で返事してくれてるみたい。


寝てたの起こしちゃったみたいで申し訳ないな。









「研二くん、もう潮風大丈夫なの？」


『なんか全身に針刺されてるような気分だけど、人間の慣れって怖いよね。なんかもう感覚麻痺し始めてる』




「痛みに慣れるのは良くないと思うよ」








大丈夫大丈夫、痛くても死にはしないから、と笑顔でグッドサインをする研二くん。



じんぺーちゃんが聞いたら怒りそう。ブラックすぎて。









『……なぁ、Aちゃん。一つだけ聞いても良い？』



「んー？なぁに、研二くん」









なんとなく、嫌な予感はした。


だけど駄目って言うのも変な話で、ハトさんを撫でながら先を促す。









『＿＿＿＿＿どうしてすぐに、俺を呼ばなかったの？』









心臓の音が、うるさかった。









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