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ヘリコプターの音がしてからすぐに、私達はコナンくんの指示で飛行船内に身を隠していた。
その理由は、赤いシャム猫の人達が飛行船の中に入ってくるのを目撃したから。
このままキャビンに戻ってもあの人達に捕まるだけ。
それなら、自由に動ける私達がなんとか事態を変えないと。
すると、そんな想いが通じたのか、コナンくんのバッチに哀ちゃんからの通信が入った。
「どうします、コナンくん」
「……」
「哀ちゃんやみんなを助けなきゃ!」
探偵バッチからは、妙な動きを見せたら殺人バクテリアをばら撒くと脅す犯人さんの声。
勿論私も、みんなと同じ気持ちだ。
確かに私たちはまだまだ子供で、出来ることなんて少ししかないのかもしれないけど。
それでも、ここでじっとしているよりは絶対に良いと思うから。
「あぁ。だがそれよりも、まずは爆弾の解除だ。……灰原、その人質の中に、犯人達の仲間が居るかもしれない。気をつけろ」
《了解。……ところで、そこに松田さんは居る?》
「Aさん?居るけど」
《なら、一瞬だけ代わってくれないかしら。予め伝えておきたいことがあるの》
哀ちゃんのその言葉で、コナンくんが持っていた探偵バッチを私に差し出してくる。
哀ちゃんから伝えておきたいことって、一体なんだろう。
みんなをよろしくね、とか?
それとも、一番年上だからしっかりしなさいよ、とかかな。
そんなことを考えながら「哀ちゃん?」と呼びかけると、バッチの向こうの哀ちゃんは微かに息を吐いた。
《時間が無いから、手短に伝えるわね。……“絶対に一人で突っ走っちゃダメよ”》
「え……?」
《貴女は少し、自分を犠牲にしすぎるところがあるから》
予想と全く違うセリフに、思わず声が漏れる。
これは、哀ちゃんなりに心配してくれてる、ってことなのかな。
「……ありがとう、哀ちゃん。気をつけるね」
《……まぁ、今はその返事で許してあげるわ。それじゃあね》
その言葉を最後に、プツリと途切れる通信。
______いつからそう思うようになったのかは、分からない。
じんぺーちゃんを押し退けて観覧車に乗った時かもしれないし、もっともっと昔のことなのかもしれない。
気づいたらずっと私の頭の中にあって、良くない考えだって分かっているのに、ふとした瞬間に顔を覗かせて、いつも体が勝手に動いてしまう。
“私が犠牲になれば、みんなは助かる”んだって。
そう、思ってしまうんだ。
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無糖(プロフ) - シンデンさん» すみません、表紙絵の方は少し厳しいかもしれません……💦ご期待に添えず申し訳ないです🙇♀️ (4月23日 23時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
FRISK。(プロフ) - 一気に読ませて頂きました!続き楽しみにして待ってます! (4月22日 6時) (レス) @page42 id: 6b38b8c85b (このIDを非表示/違反報告)
シンデン - 無糖さん» 無糖様返信有り難うございます。勿論モラルは守るつもりです常識と良識もって誠心誠意書かせてもらいます。とっっっても失礼なのですがあの、表紙の絵を書いて頂くことって出来ますでしょうか?もしも出来れば御願いしたいです。原作ファンも喜ぶと思うので… (4月21日 9時) (レス) id: 041e3f6835 (このIDを非表示/違反報告)
戦国娘(プロフ) - 更新待ってました!何気に浪速コンビとの絡みがここでやっと何だな〜と読みながら思いましたwww映画でも胸アツな2人だったので本編でも夢主との胸アツストーリーを楽しみにしてます😊 (4月20日 0時) (レス) id: 27df865018 (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - シンデンさん» コメントありがとうございます!私としても初のご提案だったので、返答が遅くなってすみません💦二次創作(三次創作?)の件ですが、作品元を明記する、本文をコピぺしない、等のモラルを守ってくださる場合に限り大丈夫です…!うちの子をよろしくお願いします! (4月19日 21時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
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