7．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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『いててててて！！！待って！！！待って！！！！潮風が痛い！！！！雅美さんと海辺のカフェ行った時は全然痛くなかったのに！！！！真横だとこんないてぇの？！？俺ビーチ行けねぇじゃん！！！人生半分損してんじゃん！！！！全俺が泣いたよ色んな意味で！！！！』




「研二くんうるさいよ」









＿＿＿＿＿＿あれからキッドさんのハンググライダーで安全に着陸した私達は、自力で飛行船に戻る方法も無くて、愛知県の佐久島って所でぼんやりと時間を潰していた。




そこへどこからともなく現れた研二くんは、今もまだ潮風に当たって痛い痛いと泣いている。


前から塩だけは痛いって言ってたから、塩分を含んでる潮風も痛いんだって。





しょっぱいものとかは食べれるのに、潮風とか塩水はダメってなんだか不思議。






とうとう痛みに耐えかねて草むらに隠れてしまった研二くんの背中をヨシヨシしていると、どこかに電話中のコナンくんが、不意に「あぁ」と言って飛行船のことを話し始めた。









「既に感染者も二人……」



「＿＿＿いや、五人だ」


「え？」




「水川っていうディレクターと安室って男の掌にも、それぞれ右手と両手に発疹が出た。ついでにハイジャック班の一人にもな」




「……ってことだ」









……やっぱり、れーくんも感染しちゃったんだ。


掌の発疹が見えてから多分そうなんだって思ってたけど、実際に聞くと不安で仕方ない。




れーくんとの連絡手段もないし、飛行船に戻る手段もないし、探偵団のみんなのことも心配だし。


私、これからどうすれば良いんだろう。









「おーい、A！そんな草むらに居ねぇで、お前もこっちで一緒にコイツ撫でようぜ。随分人懐っこいぞ！」








研二くんのこともあって行くのを躊躇っていると、まだ涙目の研二くんが「折角の機会なんだし行ってきな」と背中を押してくれて。



恐る恐るキッドさんの傍に行くと、どこから出したのか分からないヤギの餌を手渡された。

ぺろぺろと掌を舐められる感触がくすぐったい。








「ふ、ふふ、可愛いね、ヤギさん」


「だろ？まぁ流石に嬢ちゃんの美貌には勝てねぇけどな」



「……？？？」



「おい、まるで俺が滑ったみたいな反応やめろ」









おっかしいな、口説き文句には自信あんのに、と口を尖らせるキッドさん。


その姿がなんだか面白くて、思わずクスクスと笑ってしまって。








「ふっ、漸く笑ったな」









そう言ってポンッと頭に添えられた手は、ほっとするくらいに暖かかった。








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