7．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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一切の情報を伝えていなかったヒロが、背後で「なっ」と声を漏らす。




悪いな、ヒロ。騙すような真似をして。


だが、敵を欺くにはまず味方からって言うだろ？




今回の件は、どうか多めに見てくれよ。









「ッ、お前……！！やりやがったな！！！」



「さぁ、なんのことだか」









俺の言葉で漸く発疹の理由が分かったのか、女が持っていた拳銃の銃口を向けてくる。





全く、心外だな。




俺はただ、子どもを守る為に彼女の腕を“掴んだ”だけであって。


その“掴んだ”場所にたまたま偶然、発疹が出来ただけだというのに。





それも、俺の手の形そっくりの発疹が、ね。









「それより、早く僕らを隔離しなくて良いんですか？このままだと、あなた方にも感染が広がってしまいますけど」


「……そいつら二人纏めて喫煙室にぶち込んどけ」




「そんなっ！わ、私のこれは、ただのかぶれで……！！」





「＿＿＿＿＿＿感染した奴に用はない。おい、さっさとしろ」










リーダー格の男の指示を受け、部下達が俺と女を拘束する。


女の反応からして、例の細菌が偽物であることは確実と言っていいだろう。





これで俺の仮説は確証に変わった。



ならば今度は、何故奴らは女をこの場に留まらせなかったのか、ということになるが。






……細菌が偽物であると人質にバレれば、抑止力としての効果が爆弾だけになる。


それは彼らとしても避けたいはずだ。




そうなれば、仲間であろうと感染者を喫煙室に隔離することは容易に想像がつくだろう。





つまり、最初からあの女は戦力外になる運命だった。

それだけだ。








「あとは頼みましたよ、緑川さん」


「っ……あぁ」








苦虫を噛み潰したような彼の表情を最後に、俺たちは仲良く薄暗い喫煙室にぶち込まれた。




＿＿＿＿＿＿瞬間、怒りの形相で銃口を向けてくるウェイターの女。


先に居た水川というディレクターは、まだ気絶しているようだ。








「お前のせいで……！」








悪いが俺も、やられっぱなしは性に合わない。


恨むなら俺に喧嘩を売った自分を恨めよ。






胸中でそんなことを思いながら、突きつけられた拳銃の先を瞬時に掴み、体勢を崩した女をそのまま床に叩きつける。


仰向けになった彼女の目には、銃を構えて真顔で見下ろす“降谷零”としての俺が写っていた。








「っ、……あんた、一体何者なのよ」



「さぁ、僕はどこにでも居る普通のカフェ店員ですよ」








胡散臭ささがトレードマークの、ね。








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