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「______じゃあ、みんなはここで待ってて」
ホームズさんの家を出て辿り着いた、ダウンタウンのトランクラブ。
みんなを先導していたコナンくんは、「僕は裏口から中の様子を見てくるから」と言い残すと、駆け足で中に入って行った。
これが歩美ちゃん達だと不安になるのに、コナンくんだと安心できるのはなんでだろう。
みんなより大人びてるからかな。哀ちゃんも不安にならないもん。
コナンくんの帰りを待ちながら、帰ったらまた博士のお家で遊びたいね、なんて探偵団のみんなと話す。
すると突然、待っててと言われた筈の諸星くんと滝沢くんが、裏口に向かって歩き始めていて、私は慌てて二人を引き留めた。
「だ、駄目だよ!勝手に動いちゃ!」
思わず掴んでしまった諸星くんの右腕。
それを見て、彼はまた鬱陶しそうに顔をしかめる。
「チッ、またお前かよ。お前には関係ねぇだろうが」
「っ……で、でも……待ってて、って……」
「お前、マジでなんなの。急に俺のダチとか言い出してさ。嫌いな奴にまで媚び売ってんじゃねぇよ、偽善者」
「……」
「ちょっと、そんな言い方しなくても、」
止めに入ろうとする蘭お姉さんを、研二くんの腕がそっと制止する。
研二くんの言葉は、もちろん直接は聞こえない。
……でも、あの大きな手で、優しく背中を押してくれているような気がした。
「……た、確かに、諸星くんは他の人にも迷惑かけるし、謝らないし、口も悪いし、本も大切に扱わないし、全然言うこと聞かないし、今日だけで嫌いなところもいっぱいあるけど!」
「だったらさっさと離せよ!なんで俺がただディスられてんだ!」
「でも、本当の悪い人だとは思わないから!!……だ、だから……現実に戻ったら、お友達になりたいって……そう、思って……」
「っ……」
だから、誰もゲームオーバーにさせたくない。
コナンくんが「待ってて」って言うなら、きっとこの先は危険な場所だと思うから、大丈夫って言うまで行ってほしくない。
……なのに、想いを伝えるのって、やっぱり難しくて。
「……現実の俺は、お前と仲良くする気はねぇよ」
そう言って腕を振り払われてしまったら、もう強引に引き留めることも出来なかった。
遠ざかっていく諸星くんと滝沢くんの見つめて、私はゆっくりと後ろを振り返る。
「友達を増やすのって難しいな、Aちゃん」
「……うん」
……少しだけ、仲良くなれたと思ってたのにな。
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侑(プロフ) - 更新待ってました、!!おかえりなさい!! (2023年3月20日 14時) (レス) @page50 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
みすず。(プロフ) - ふぉわっっ!?!? 待って、久々の投稿っっ!! 好きです!! 更新ありがとうございます!! 元マシュマロ。です! これからもとことん応援、推させて頂きます!!! (2023年3月20日 0時) (レス) @page50 id: 5bbebede5e (このIDを非表示/違反報告)
ふゆな(プロフ) - 更新待ってました!!!!😭 ありがとうございます嬉しいです!!!、!!👊🏻💗 (2023年3月19日 16時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
たむ(プロフ) - はああああ!!!!!久しぶりの更新!!!!!わあああ!!!!ありがとうございます!応援してます!頑張ってくださいいっっ!!! (2023年3月19日 0時) (レス) @page48 id: eba900a9f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのみ(プロフ) - この作品を読んでコナンくんにハマりました!主様の全作品の中で1番好きです。もちろん、他の作品も大好きですよ。こちらの更新も楽しみにしてます! (2023年1月4日 23時) (レス) @page46 id: 19928cbf59 (このIDを非表示/違反報告)
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