293 ページ49
.
______飛行船の中はある程度調べ終わったということで、何気なく足を運んだスカイデッキ。
そこでは丁度キッドに対する警備を強化していたようで、その事に気づかず一人で登ってきた俺は、真っ先にキッドの変装だと疑われた。
そこへ登場した救いの手であるAは、現在、他の子達と宝石を眺めて楽しそうにしている。
呑気なものだ。
正直、そのいつも通りに救われている面もあるが。
「___で、安室さんはなんでこんなとこに居たんだ?」
はぁ、と無意識にため息を吐いたところで、ヒロからそう質問を投げかけられる。
別に特別な理由はないんだが。
「船内に異常が見当たらなかったから、唯一調べてないこのスカイデッキに足を運んだだけさ。……まぁ、まさか来ただけでキッド扱いされるとは思わなかったけどな」
後のことを考えて飛行船内の調査は従業員の目を掻い潜りながらだったが、意外にも異常らしい異常は特に見当たらなかった。
唯一の心残りがあるとすれば、喫煙室とキッチンは人の出入りがあったため、くまなく捜査できなかったことくらいだが。
あの様子だと、恐らくその二つも異常はないだろう。
となると、異常が無いのはまだ犯人が行動に出ていないのか、はたまた飛行船自体が事件と無関係なのか。
現状を鑑みると、出来ることなら後者であってほしい。
あいつが危険に晒される危険性があるなら、尚更だ。
「安室さんってさ、Aちゃんに会ってから雰囲気丸くなったよな」
「……は?」
いきなり何を言い出すんだ、彼は。
「だってほら、この仕事に就いてからずっと難しい顔してただろ?なのに、あの子と居る時はいつも穏やかな顔してる。気づいてない?」
「……」
言われてみれば、まぁ確かに。
あいつを見ている時は、なんだかんだと理由をつけて口角を上げている気がする。
だがその事実を他人に指摘されるのは訳が違うわけで、はぐらかすように一つ咳払いを挟んだ。
「……そういうお前だって、あいつと他の子どもの間に明確な線引きを作ってるじゃないか。俺なんてまだ可愛い方だろ」
俺の言葉にキョトンとした顔で目を瞬かせるヒロ。
けれどすぐに、「確かになぁ」と妙に納得した声が耳を掠めた。
「線引き、してるかもしれない」
「……そういうことは思っても言わない方が良いぞ」
「先に言ったのはそっちだろ?」
ははっ、という軽い笑い声は、子ども達の声にかき消された。
.
2680人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
侑(プロフ) - 更新待ってました、!!おかえりなさい!! (2023年3月20日 14時) (レス) @page50 id: 8afc6fd8a6 (このIDを非表示/違反報告)
みすず。(プロフ) - ふぉわっっ!?!? 待って、久々の投稿っっ!! 好きです!! 更新ありがとうございます!! 元マシュマロ。です! これからもとことん応援、推させて頂きます!!! (2023年3月20日 0時) (レス) @page50 id: 5bbebede5e (このIDを非表示/違反報告)
ふゆな(プロフ) - 更新待ってました!!!!😭 ありがとうございます嬉しいです!!!、!!👊🏻💗 (2023年3月19日 16時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
たむ(プロフ) - はああああ!!!!!久しぶりの更新!!!!!わあああ!!!!ありがとうございます!応援してます!頑張ってくださいいっっ!!! (2023年3月19日 0時) (レス) @page48 id: eba900a9f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのみ(プロフ) - この作品を読んでコナンくんにハマりました!主様の全作品の中で1番好きです。もちろん、他の作品も大好きですよ。こちらの更新も楽しみにしてます! (2023年1月4日 23時) (レス) @page46 id: 19928cbf59 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ