4．わたしの背後霊 研二くん【警察学校組】

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「松田ってなんだかんだ世話焼きだよな」


「……ガキにまで強く当たるほど腐ってねぇよ」







私を抱っこしたまま研二くんを睨みつけるじんぺーちゃん。


そこで初めて、絶対に起こるはずがないことが起こっていることに気がついた。




＿＿＿＿＿＿じんぺーちゃんと研二くんが、普通にお話ししてるってことに。




じんぺーちゃんには霊体の研二くんは見えてなかったはずなのに。

それに、ここに居る研二くんも「入院した覚えはない」って言ってた。



もしかしてここは、研二くんが爆発事故に巻き込まれる前の場所なの？








「にしてもお前、ここまでどうやって来たんだ？ここは【警察学校】の敷地内だぞ。入る前に止められるはずだがな」


「それは俺も思ったんだよね。けどその子自身に何かあるわけでも無さそうだし、不審なものも一切所持してなかった」







あ、さっきぎゅってされたの、私が何か持ってないか確認してたんだ。







「そういえばお嬢ちゃん、名前は？」


「あ、えと…………松田Aです！小学四年生です！」








研二くんの質問に一瞬どっちの苗字を言おうか迷って、【松田】の方を口にする。


今の私はもう秋沢じゃないから。




すると私の名前を聞いた研二くんが面白そうに口角をあげた。








「あれ、じんぺーちゃんとおそろじゃん。もしかしてじんぺーちゃん、俺には隠し子とか言っときながら……」

「なわけねぇだろ。テメェと一緒にすんじゃねぇ」







もしここが過去だとしたら、未来のことは言っちゃダメだよね。



余計に怪しまれちゃうと思うし、未来を変えちゃうかもしれないから。








「俺のことはもう知ってそうだけど、萩原研二です。研二くんって呼んでね♡」

「ハート飛ばすな気色悪ぃ。……俺は松田陣平だ。まぁ、好きに呼べ」



「研二くん！じんぺーちゃん！」



「なーにAちゃん♡」







私のことを覚えていなくてもやっぱり研二くんは研二くんで、いつもみたいにニコニコと笑いながら名前を呼んでくれる声に少しだけホッとする。


いつ元の世界に戻れるか分からないけど、研二くんとじんぺーちゃんが居ればきっと大丈夫。

何にも怖がる必要なんてないんだ。




それにさっき、じんぺーちゃんがここは【警察学校】だって言ってたから、もしかしたらヒロくんたちも居るかもしれない。



忘れられてるのは悲しいけど、ヒロくんとれーくんと航くんにも会いたいな。

それで、元の世界に戻った時に、みんなに話すの。




じんぺーちゃんたち、笑ってくれるかな。








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