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※ここからは番外編的なものです。本作の主人公 Aちゃんが背後霊の彼だったり保護者の彼だったりの警察学校時代にトリップします。だって書きたかったんだもの み○を。
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______その日は珍しく、私の近くに研二くんの姿が無かった。
他のみんなも予定がたくさんあって、思い返すと、本当の意味で一人ぼっちになったのは何年ぶりだろう。
3歳の頃に出会ってから、私の背後にはいつだって研二くんが居て。
誰かとお出かけをするときも、事件を解決するときも、一緒に楽しんで考えて喜んでくれる大切な背後霊さん。
……研二くんの居ない帰り道は、やっぱり寂しいな。
真っ赤なランドセルを背負い直して、タン、タン、と見慣れた道の白線だけを踏んでいく。
白線の外側にはね、私だけにしか見えない、違う世界があるの。
みんなにはアスファルトに見えてるけど、本当は道なんてないの。
ちょっとでも踏み外したら、高い高いところから落っこちちゃうんだよ。
『何それ面白そう。俺も混ぜてよ』
私が今よりもっと小さかった時。
ママの居ない保育園の運動会の帰り道で、いじけながら始めた白線だけしか踏めないゲーム。
それに笑顔で付き合ってくれたのも、研二くんだった。
空なんて自由に飛べるのにその時だけは地面に足をつけて、一緒になって奈落に落ちそうになったり、狭い白線の上で落ちないように身を寄せ合ったり、「俺をおいて先に行けー!」なんて言って先に脱落して、笑わせてくれたり。
研二くんのお陰で、私は前を向けてるんだ。
だからいつかは、背後霊さんじゃなくなったとしても、研二くんには起きてほしいの。
……今度は私が、研二くんの手を引っ張ってあげたいから。
「あ」
ぼやぼやと考え事をしていたら、いつの間にか解けていた靴紐に気づくのが遅れてしまった。
気づかず踏み出した右足が解けた靴紐を踏みつけて、ぐらりと体がバランスを崩す。
あ、白線の上から落ちちゃう。
転けそうな最中でも頭を過ったのは白線のこと。
咄嗟に体を支えようと動いた右足が白線の外側に飛び出して、てっきり、何ごともなくじんぺーちゃんの待つお家に帰れるものだと、思っていたのだけれど。
白線の外側を踏んだ右足は、そのまま地面に沈んでいってしまって。
何かに捕まろうと伸ばした右手は、呆気なく空を切った。
「研二くん……ッ!!」
______少女の居た歩道には、静寂が訪れた。
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宮野冬姫(プロフ) - それから、158の絶好の場所というセリフが格好の場所になってます (2022年7月10日 21時) (レス) @page12 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 150のパトカーのサイレンですが、ピーポーピーポーは救急車では? (2022年7月10日 21時) (レス) @page4 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
朱夢 - とても面白いです‼️いつも楽しく読んでます。寒いですが頑張ってください‼️ (2021年12月10日 16時) (レス) id: af58c4fc49 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 更新ありがとうございます。しかし本当に警察学校組は若いですよね…。 (2021年12月10日 2時) (レス) @page48 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
とーふ(プロフ) - 更新ありがとうございます!研二くんとじんぺーちゃん、警察学校組の皆と話している夢主ちゃん可愛い!記憶に残ってないのは悲しいですけどね…これからも更新頑張ってください! (2021年12月9日 18時) (レス) @page48 id: a9336fcc7d (このIDを非表示/違反報告)
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