183 ページ37
.
案の定信じてもらえず、私たちの必死な訴えは、二人のお巡りさんの笑い声にかき消されてしまって。
「おいオメーら、そっから絶対動くんじゃねーぞ!」と叫んでどこかへ行ってしまったコナンくんの背中を見送って、ポケットの中の携帯を握りしめる。
……もしも、ここに居るお巡りさんがじんぺーちゃん達だったら。
私たち子供の言うことでも、信じてくれたりしたのかな。
幽霊の研二くんが見える、なんて、普通の人からしたらふざけてる言葉も信じてくれたみんななら、信じてくれたのかな。
「動くなって言われると……」
「動きたくなるよなぁ」
「えっ、ちょっと、みんな……!ダメだよ待って!!」
考え込んでいる間に、コナンくんの言葉を無視してビルの中に入って行ってしまうみんな。
慌ててその背中を追いかければ、入り口付近に居たアイちゃんにパシッと右腕を掴まれてしまって、簡単に足止めされてしまった。
振り返った先にいたアイちゃんは、今度こそ揺るぎない瞳で私を見上げてくる。
……どうしてアイちゃんは、そんな目で私を見るの?
なんだか、雅美お姉さんみたいだよ。
「貴方はここで待ってて。私があの子達をなんとかする」
「っ、そんなのダメ!私も一緒に行かなきゃ!」
「___江戸川くんならまだしも、貴方が行って何になるの?」
「……え?」
「貴方一人に、一体何が出来るの?」
グサリ、と鋭い言葉の刃が胸に刺さって、思わず息の仕方を忘れてしまう。
私が行って、何になるの。
……そう、そうだね。アイちゃんの言うとおりだよ。
コナンくんは、アンテナが出るメガネとか、すっごく速いスケートボードとか、キラキラ光る靴とか、そんな色んな物を使って、いつだって私たちを守ってくれて。
なのに私は、みんなよりちょっと歳上ってだけで、何にも出来ない。
きっとAは、ママの言う通り、要らない子なの。
……だけどね。
「______みんなを守って、死ぬことは出来るよ」
「……そんなこと、周囲の人間が許すと思う?」
「アイちゃん。Aはね、きっと一回死んでるの。ママに「産まなきゃ良かった」って言われた時、Aは、死んじゃったの。なのに、じんぺーちゃんに取り憑いてる、悪い幽霊さんなの。……だから、いつかは、離れなきゃいけないんだよ」
アイちゃんの手の力が緩んだ隙に、階段の登っていったみんなの後を追いかける。
じんぺーちゃん、ごめんなさい。
約束、また破っちゃった。
.
2032人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宮野冬姫(プロフ) - それから、158の絶好の場所というセリフが格好の場所になってます (2022年7月10日 21時) (レス) @page12 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 150のパトカーのサイレンですが、ピーポーピーポーは救急車では? (2022年7月10日 21時) (レス) @page4 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
朱夢 - とても面白いです‼️いつも楽しく読んでます。寒いですが頑張ってください‼️ (2021年12月10日 16時) (レス) id: af58c4fc49 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 更新ありがとうございます。しかし本当に警察学校組は若いですよね…。 (2021年12月10日 2時) (レス) @page48 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
とーふ(プロフ) - 更新ありがとうございます!研二くんとじんぺーちゃん、警察学校組の皆と話している夢主ちゃん可愛い!記憶に残ってないのは悲しいですけどね…これからも更新頑張ってください! (2021年12月9日 18時) (レス) @page48 id: a9336fcc7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ