181 ページ35
.
書店の外でみんなを待っていると、突然、ポケットに入れていた携帯が振動し始める。
相手が誰かはなんとなく予想出来てる。
【ごめんなさい!五時までに帰れそうにないです!】ってメール送った時、すっごい長文の返信があったから。
あれ、絶対数秒の返信で打ち込める量じゃなかったよ。研二くんもびっくりしてたもん。「親バカこえー」って。
「もしもし、松田です!じんぺーちゃんですか!」
《ああそうだよじんぺーちゃんだよ!!お前今どこ居んだ?!?もう七時だぞ!!》
「えっとね、大渡間駅ってとこ!」
《はぁ?!あのガキどもは?!一緒か?!?》
「うん!今みんな千円札さんのとこ行って___」
「___ふざけるな!!!!誰が千円札だああ!!!!!」
「うわっ!びっくりした!」
『ありゃ見事にやってんねぇ』
書店の中から聞こえてきた怒号に思わず携帯を耳から離す。
そして次の瞬間には、般若を後ろにくっつけた店長さんによって、アイちゃんとコナンくん以外はお店を追い出されてしまった。
店長さんも大変だ。
慌てて携帯を耳に当て直して、「でも大丈夫だよ!ちゃんとみんなのことは私が守るから!」と言ってじんぺーちゃんを安心させようとすれば、逆に「バカかお前は!!」と電話口で怒鳴られる。
ちゃんとお姉さんとしてのお仕事はやってるはずなのに。
《良いか、A。これだけは忘れるな。お前はまだ、そこにいるガキ達と同じ、年端もいかない子供だ。いくら一番歳上でも、俺たち大人から見りゃ、お前も十分子供なんだよ。だから……簡単に、一人で戦おうとすんじゃねぇ》
「……」
『今までのでもう十分、分かってるだろ?あいつは見た目以上に心配性なんだよ。安心させてあげな』
研二くんの言葉に背中を押されて、携帯を握り直す。
……一人で戦おうとするな、なんて、初めて言われた。
パパがいた時も、ママに見てもらえなかった時も、……いじめられていた時も。研二くんはずっとそばにいてくれたけど、最後の最後までその名前を呼ぶことができなくて。
そこに居てくれるだけで、良いと思ってた。
研二くんや、じんぺーちゃん、ヒロくんにれーくんに航くん……いろんな大切な人がそばに居るだけで、一人でも立ち向かえる気がして。
それが、違ったんだ。
「……大渡間駅近くに、不動産屋さんがあるの。そこからすぐの所にある、本屋さんの前にいるよ」
《分かった。迎えに行くから、大人しく待ってろよ。あのガキ共もな》
「うん」
.
2033人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宮野冬姫(プロフ) - それから、158の絶好の場所というセリフが格好の場所になってます (2022年7月10日 21時) (レス) @page12 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 150のパトカーのサイレンですが、ピーポーピーポーは救急車では? (2022年7月10日 21時) (レス) @page4 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
朱夢 - とても面白いです‼️いつも楽しく読んでます。寒いですが頑張ってください‼️ (2021年12月10日 16時) (レス) id: af58c4fc49 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 更新ありがとうございます。しかし本当に警察学校組は若いですよね…。 (2021年12月10日 2時) (レス) @page48 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
とーふ(プロフ) - 更新ありがとうございます!研二くんとじんぺーちゃん、警察学校組の皆と話している夢主ちゃん可愛い!記憶に残ってないのは悲しいですけどね…これからも更新頑張ってください! (2021年12月9日 18時) (レス) @page48 id: a9336fcc7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ