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意気揚々と走り出すみんなと共にコナンくんの後を追ってやってきた、大渡間駅。
駅近くの不動産屋にいる彼を六人で窓越しに観察していれば、暫くはバレなかったけど、最後は何かの資料をパラパラとめくっていた強面の男の人が私たちを指差して、無事にコナンくんとも合流。
探偵団のみんなに助言をしたアイちゃんはしれっとしたお顔でパンフレットを眺めていた。
ずっと思ってたけど、大人びた子だなぁ。
「あのぉ」
「んー?何」
「この辺に小説家の人住んでませんか?」
「小説家ぁ?なんだよそれ」
不動産屋の人にそう質問をするとしやくんに、聞いてないぞと言わんばかりに詰め寄るコナンくん。
としやくんによると、お兄さんは居なくなった後、一度だけ家に電話をかけてきたことがあるらしい。
電話に出たのはとしやくんのおばあちゃんで、耳が遠いこととお兄さんが早口だったこともあって、ほとんど内容は聞き取れず。
聞き取れたのは、【漱石みたいな人たちと一緒に居る】という言葉のみ。
漱石……お兄さんの部屋に、夏目漱石の人物画があったのと、何か関係がありそうだけど。
「そういや、漱石似の男ならこの近くに住んでるぞ」
「えぇ?!」
「角の本屋の店長なんだが、あだ名が千円札って言ってな」
『とんでもないあだ名つけられてんな、その店長』
不動産屋さんの言葉に歩美ちゃんたちは嬉しそうにするけれど、多分、そんな単純な言葉じゃないと思う。
あだ名として知れ渡ってるなら、もしそれが犯人に聞かれたら、すぐに助けを求めてるってバレちゃうと思うし。
研二くんにも相談できず、一人考え込んでいる間にも、不動産屋さんの手を引いて目的の本屋に行こうとするみんな。
不動産屋さん曰く、あそこの店長さんはやめた方がいいんだって。怖いのかな。
「おじさん、どうしてここの店長さんはやめた方がいいの?」
「んあ?」
なんだかんだ本屋に連れてきてくれた不動産屋のおじさんと一緒に、店内に突撃していったみんなを見送る。
その間、おじさんに言葉の意味を聞くと、「ここの店長はどうも千円札っていうあだ名が気に入ってねぇらしくてな。そのうちどやされて出てくるぞ、あの坊主ども」と教えてくれた。
「まぁ気にいるわけないよね」と笑う研二くん。
どうせならかっこいいあだ名がいいもんね。
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宮野冬姫(プロフ) - それから、158の絶好の場所というセリフが格好の場所になってます (2022年7月10日 21時) (レス) @page12 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 150のパトカーのサイレンですが、ピーポーピーポーは救急車では? (2022年7月10日 21時) (レス) @page4 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
朱夢 - とても面白いです‼️いつも楽しく読んでます。寒いですが頑張ってください‼️ (2021年12月10日 16時) (レス) id: af58c4fc49 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 更新ありがとうございます。しかし本当に警察学校組は若いですよね…。 (2021年12月10日 2時) (レス) @page48 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
とーふ(プロフ) - 更新ありがとうございます!研二くんとじんぺーちゃん、警察学校組の皆と話している夢主ちゃん可愛い!記憶に残ってないのは悲しいですけどね…これからも更新頑張ってください! (2021年12月9日 18時) (レス) @page48 id: a9336fcc7d (このIDを非表示/違反報告)
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