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「そ、の人が、どうかしたの……?」







あくまでもAは知らない体で話すらしい。


もしくは、俺に教えていいのか判断しかねているのか。




だとしたら、あの名前を出すしかないだろう。







「広田雅美さんから、ある物を託されたんだ。彼女が【モロフシヒロミツ】の手に渡れば安全だと言ってたから、もしかしたらもう預かってるかと思ってね。Aさんの知り合いだって聞いたんだけど」


「っコナンくん、雅美おねーさんのこと知ってるの?!」

「え、えと、うん。一応、知り合いだけど」







だけど、雅美さんは___そこまで言いかけて、俺はある可能性が頭を過り、口を閉ざした。





……あぁもしかして、彼女は知らないのだろうか。



広田雅美さんが、もうこの世にはいないことを。





真実を伝えるべきか否か。押し黙って思考する俺の肩を、誰かがポンと叩く。


顔を上げると、そこにはフードを被った鋭い眼光の男が俺を見ていて、俺に「君、少し良いか」と声をかけてきた。




それだけで、大体ことは把握できた。




……この男が、【モロフシヒロミツ】。




雅美さんのことを聞きたそうにしていたAさんに一言謝って、モロフシという男の後ろを、黙ってついていく。


最悪襲われそうになれば、麻酔銃だってある。

手の打ちようはあるはずだ。







「……すまない、コナンくん。あの子には、まだ、彼女のことは言わないでくれないか」


「……え?」







___そう警戒する俺に向かって、彼が開口一番言ったのは、そんなことだった。




確かに、テレビに顔も名前も出された彼女の現在の状況を知らないなんて、可笑しいとは思っていた。


つまりは彼か、もしくは彼らが、意図的にAの目に入らないようにしていたということか。




そんなの、いつかはボロが出てしまうような気もするが。



俺も正直、正しい選択がどちらかなんて、分かりやしない。


死んだ現実を突きつけることが正しいのか、彼女の中の雅美さんを生かし続けることの方が、正しいのか。







「…………覚悟なら、昨日、あの子の前で決めてしまったから」








ということは、あの時言っていた【あの子】も、Aのことを指していたのだろうか。



前日まで会っていたお姉さんが、翌日にはひっそりと亡くなっていた。


……なんて、確かに小学四年生に伝えるには、酷な内容だな。







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宮野冬姫(プロフ) - それから、158の絶好の場所というセリフが格好の場所になってます (2022年7月10日 21時) (レス) @page12 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 150のパトカーのサイレンですが、ピーポーピーポーは救急車では? (2022年7月10日 21時) (レス) @page4 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
朱夢 - とても面白いです‼️いつも楽しく読んでます。寒いですが頑張ってください‼️ (2021年12月10日 16時) (レス) id: af58c4fc49 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 更新ありがとうございます。しかし本当に警察学校組は若いですよね…。 (2021年12月10日 2時) (レス) @page48 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
とーふ(プロフ) - 更新ありがとうございます!研二くんとじんぺーちゃん、警察学校組の皆と話している夢主ちゃん可愛い!記憶に残ってないのは悲しいですけどね…これからも更新頑張ってください! (2021年12月9日 18時) (レス) @page48 id: a9336fcc7d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無糖 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年7月23日 23時

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