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「あれ、じんぺーちゃん、きのーおとまりしたの?」
「かーちゃんの居ねぇ家にお前を一人にすんのもあれだからな」
モロフシちゃんとまた会ったり、ライさんって人に会ったり、銃を突きつけられたり、といろんなことがあった次の日。
目が覚めてリビングまで降りると、昨日と同じ格好のじんぺーちゃんが、ダイニングテーブルに座って私を待っていてくれた。
「風呂勝手に借りたぞ」と言うので、「ぜんぜんいーよ!今度はいっしょに入ろーね!」と返して、私も椅子によじ登る。
「……待て、A。まさかお前、あいつと風呂入ったりとか、」
「よーちえんの時はいっしょに入ってた!」
「……そんぐらいならまぁまだ許す」
『あっぶねー!俺今軽く殺されかけてたよな?』
「あ!けんじくんもおはよー!」
『おはようAちゃん。今日も朝から可愛いね!』
じんぺーちゃんの正面に腰掛けると、タイミング良くキッチンから朝ごはんを持った研二くんが現れた。
最近の研二くんは少しでもじんぺーちゃんに見えるようにするためか、料理の時はママのエプロンを着てる。
私は見えてるけど、見えないじんぺーちゃんにはエプロンだけが浮いてるように見えるんだって。
でも前より輪郭が分かりやすくなったって言ってた。
私が起きるまでの間、二人は文字で会話をしていたようで、机には数枚の紙と鉛筆が広がっている。
そこに書かれているのは、ママとは少し違う、シュッとした文字たち。
「これ、けんじくんの字?」
「あいつ意外にとめはねはらいしっかりしてるからな。上手いだろ?」
『いや、なんでじんぺーちゃんが誇らしげなんだよ!』
「うん!けんじくんの字、きれー!」
『ねぇ俺照れちゃうからやめて〜!』
…………あ、でも。
素直に研二くんの字が見れて喜んでいた気持ちが、突然しゅんと沈む。
文字で会話出来るなら、私、もう要らないのかも。
「……」
「……A、どした。昨日のまだ怖いか?」
「ううん。もうこわくないよ」
怖くないけど、怖い。
モロフシちゃんに睨まれた時よりも。
ライさんに抱き抱えられた時よりも。
拳銃を突きつけられた時よりも。
きっと、今が一番、怖い。
目の前に並べられていく朝ごはんが、モノクロに見える。
……息の仕方が、思い出せない。
「あの子さえ居なければ___」
そういえばママも、昔、電話でそんなこと言ってた。
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宮野冬姫(プロフ) - 本当ですか!ありがとうございます!! (2022年7月10日 13時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» 分かりました!変更しても物語には影響がないので、水銀レバーに変えておきます! (2022年7月10日 9時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうなんですか!でも、松田は水銀レバーと言っていたので個人的はコナン世界に合わせてほしいです。生意気なこと言ってすみません (2022年7月10日 9時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» コメントありがとうございます!ご指摘に関してですが、現実世界だと水銀レバーではなく水銀スイッチというらしくて、間違いではないです!多分無駄にリアリティーを追求してしまったんでしょうね(笑)ご指摘ありがとうございます! (2022年7月10日 9時) (レス) @page29 id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 028の爆弾のお話、水銀スイッチではなく水銀レバーですよ!! (2022年7月9日 23時) (レス) @page29 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無糖 | 作成日時:2021年6月13日 18時