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研二くんが【さとう刑事】って言ってた女の人のお陰で、じんぺーちゃんのお説教は短くて済んだ。
代わりに彼のモフモフ頭が肩に押し当てられて、ぎゅうっと強い力で抱きしめられる。
じんぺーちゃんの呼吸が、すっごく近くで感じられた。
「……頼むから、今回みたいな真似は、もうやめてくれ…………俺を嘘つきにしないでくれ、A……お前に死なれたら、あいつに見せる顔がないだろ……」
さっきまで怒鳴っていたとは思えない、柔らかい声だった。
私の頭を撫でる腕は、小刻みに震えていた。
あーそっか、そうなんだ。
……じんぺーちゃんも私のこと、いっぱい、心配してくれてたんだ。
その事に気づいて、やっと罪悪感が芽生える。
ごめんねと言いながらモフモフの頭を撫でると、じんぺーちゃんには「許さん」と言われてしまった。
どうしよう、後でお髭の眼鏡プレゼントしてあげないと。
「ところで、松田くん。その子は一体……」
「……あーまぁ、あいつの妹みたいなもんだ」
「んん?わたし、けんじくんのいもーとじゃないよ」
「喩えだわ。みたいなが聞こえねーのかガキ」
あーお口悪いのいけないんだー。
じんぺーちゃんに抱きつきながら言うと、「うるせぇこれがデフォルトだ。どうにもならん」と返された。
直す努力をしないところはじんぺーちゃんらしい。
けど、そんなこと言ったらまた「偉そうな口利きやがって」って言われそうだなぁ。
『じんぺーちゃんAちゃんにべったりじゃーん、俺超ジェラってんだけどぉ。帰ったら俺ともぎゅーしてよ?』
「うん、する!」
「……あいつはなんだって」
「じぇらってる?って言ってるけど、よくわかんなーい」
「はっ、なるほどな」
ふとじんぺーちゃんの顔を見ると、なんかすごく悪い顔してた。
あれから地面に下ろしてもらえた私だけど、今もずっとじんぺーちゃんと手を繋いでいて。
その事を確認するように彼は腕をあげて、「あいつはこれが羨ましいんだと」と私に教えてくれた。
「けんじくん、さみしがり屋だもんねー」
「まぁどっかしらの女とは常に一緒だったな」
『ねぇちょっと待ってAちゃんの前でとんでもないこと言うのやめてくれる??まだこの子義務教育中なのよ????』
私たちの後ろでは何故か研二くんがお母さんみたいな事言ってた。
その事も伝えると、じんぺーちゃんは「事実だろ」と一蹴。
そんなに寂しがり屋だったんだ。
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宮野冬姫(プロフ) - 本当ですか!ありがとうございます!! (2022年7月10日 13時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» 分かりました!変更しても物語には影響がないので、水銀レバーに変えておきます! (2022年7月10日 9時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうなんですか!でも、松田は水銀レバーと言っていたので個人的はコナン世界に合わせてほしいです。生意気なこと言ってすみません (2022年7月10日 9時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» コメントありがとうございます!ご指摘に関してですが、現実世界だと水銀レバーではなく水銀スイッチというらしくて、間違いではないです!多分無駄にリアリティーを追求してしまったんでしょうね(笑)ご指摘ありがとうございます! (2022年7月10日 9時) (レス) @page29 id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 028の爆弾のお話、水銀スイッチではなく水銀レバーですよ!! (2022年7月9日 23時) (レス) @page29 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無糖 | 作成日時:2021年6月13日 18時