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「んで、見た目はガキ一人のお前は何してんだ」
「あそびにきた!」
「かーちゃんはどうした」
「ママはお仕事だからいないよ。行くなら一人で行ってきなさい、って言われたの」
「……」
まだ出会って三回目だけど、最近のじんぺーちゃんはよくサングラスを取ってくれるようになった。
サングラスをかけてるじんぺーちゃんより、かけてないじんぺーちゃんの方が私は好き。
だって可愛いお目目してるから。
でもこの前ファミレスでそのこと言ったら、「誰が可愛いだ」って怒られた。
なんか、じんぺーちゃんは可愛いが嫌いなんだって。
せっかく可愛いのにね。
「じんぺーちゃんはここで何してるの?」
「喫煙」
「それは見ればわかるよ。じんぺーちゃんもう歳とったの?」
「やめろ全力で煽んな。……俺はまぁ、観覧車見に来たんだよ」
「え!そうなの!わたしもかんらんしゃ乗るから、いっしょだね!」
そう言って観覧車のチケットを見せると、じんぺーちゃんは可愛い瞳を大きく見開いていた。
それからすぐに顔を歪めて、「ちっ」と舌打ちを溢す。
え、私何か悪いことしちゃったかな。
急な舌打ちにびっくりして研二くんを見上げる。
すると研二くんの方も何やら難しい顔をしていて、なんだか、私だけが置いてけぼりにされたみたいだった。
多分、子どもには分かんないこと、ってやつなんだと思う。
早く分かるようになりたいな。
「……A、悪いことは言わねぇ。今日観覧車に乗るのはやめろ」
「え、でも、チケット今日まで……」
「観覧車なら俺がいつでも連れてきてやる。だから、な。今日は我慢してくれ、A」
申し訳なさそうに微笑んだじんぺーちゃんが、私の頭をそっと撫でる。
じんぺーちゃんがこんなにもお願いしてるんだ。
わがままな子だって思われない為には、ここで素直に頷くべきだって、頭では分かってる。
なのに頷きたく無いって思うのは、どうしてだろう。
嫌な予感がする。
「……ほんとに、かんらんしゃ、連れてきてくれる?うそじゃない?じんぺーちゃん、居なくなったりしない……?」
「しねぇよ。あいつの頼みだ。お前を置いてどっかに行くなんてことは、絶対にしない」
なんなら指切りするか?
という言葉と共に立てられた、じんぺーちゃんの長い小指。
恐る恐る私の小指を絡ませると、じんぺーちゃんはいたずらっ子みたいな顔で笑った。
「俺とお前、二人だけの約束だ」
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宮野冬姫(プロフ) - 本当ですか!ありがとうございます!! (2022年7月10日 13時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» 分かりました!変更しても物語には影響がないので、水銀レバーに変えておきます! (2022年7月10日 9時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうなんですか!でも、松田は水銀レバーと言っていたので個人的はコナン世界に合わせてほしいです。生意気なこと言ってすみません (2022年7月10日 9時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» コメントありがとうございます!ご指摘に関してですが、現実世界だと水銀レバーではなく水銀スイッチというらしくて、間違いではないです!多分無駄にリアリティーを追求してしまったんでしょうね(笑)ご指摘ありがとうございます! (2022年7月10日 9時) (レス) @page29 id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 028の爆弾のお話、水銀スイッチではなく水銀レバーですよ!! (2022年7月9日 23時) (レス) @page29 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無糖 | 作成日時:2021年6月13日 18時