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一度顔を合わせて仕舞えば踏ん切りもついて、俺は諸伏ちゃんのこと(ライフル所持の件)を調べるついでに警視庁に忍び込んだ。
とはいえ普通の人間に俺の姿は視えないので、特に何の心配もなくふよふよと彷徨う。
この四年の間に色々と変化していた。
同じ爆発物処理班だった先輩は別の課に飛ばされていたし、俺のデスクは勿論別の人間が使っていた。
諸伏ちゃんのことを調べる前に、興味本位で陣平ちゃんのデスクを調べる。
卓上には面倒くさそうな書類やらコーヒーの缶やら開きっぱなしのパソコンなどが散乱して正直汚い。
仕方ないので他の人間の目を盗みながらちょいちょいと整えてやった。
まさか陣平ちゃんも俺が整理したなんて思わないだろうし、問題ないな。
多分同僚の誰かだと思ってくれることだろう。
『…………ん?』
良い汗かいたぜ、と大袈裟に額を拭いながら、デスクに視線を落とす。
すると、スリープ状態だったパソコンが、整理をした拍子に画面の光を灯らせていた。
そこに映っている検索サイトを見て、俺は思わず顔を近づけた。
『……希望部署への異動?』
え、なに、陣平ちゃん異動すんの?
あんなに爆弾解除できるヒャッホイ、みたいな感じだったのに?
わざわざ自分から異動?
幸い一日ならいくらでも移動できる。
彼がどこに異動を希望しているのか調べると、なんと捜査一課の特殊犯係への異動だった。
特殊犯係といえば、誘拐や立て篭もりとかの人質がいる事件から、大規模な業務上過失事件、そして、
______【爆破事件】などに対処する部署だ。
心当たりならありすぎるほどある。
間違いなく、俺が死に際に言った「仇を取ってくれ」が原因だ。
……まさか陣平ちゃん、死に急ぐ気じゃないだろうな。
もちろん22歳でぽっくり逝った奴が言えたことではないが。
その歳でこっちに来やがったら、俺はぶん殴ってでもお前を現世に戻すからな。
『……暫くは様子見とくか』
少しの間誰も居ないデスクの周りを漂って、本来の目的である諸伏ちゃんの捜査をするために、お世話になった機動隊の部署を出る。
その時に仄かにあいつの好きだったタバコの香りがしたような気がしたが、結局気のせいだと結論づけて振り返ることはなかった。
「……片付けられてる。誰だよ。ハギみてぇなことしやがって」
背後で松田がそんなことを呟いていたことにも気づかず。
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宮野冬姫(プロフ) - 本当ですか!ありがとうございます!! (2022年7月10日 13時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» 分かりました!変更しても物語には影響がないので、水銀レバーに変えておきます! (2022年7月10日 9時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうなんですか!でも、松田は水銀レバーと言っていたので個人的はコナン世界に合わせてほしいです。生意気なこと言ってすみません (2022年7月10日 9時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» コメントありがとうございます!ご指摘に関してですが、現実世界だと水銀レバーではなく水銀スイッチというらしくて、間違いではないです!多分無駄にリアリティーを追求してしまったんでしょうね(笑)ご指摘ありがとうございます! (2022年7月10日 9時) (レス) @page29 id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 028の爆弾のお話、水銀スイッチではなく水銀レバーですよ!! (2022年7月9日 23時) (レス) @page29 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無糖 | 作成日時:2021年6月13日 18時