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実はここだけの話、俺は生前に一度だけ彼女と会ったことがある。





彼女の方が覚えていないのも無理はない。



なにせその時の俺は爆発処理の訓練の後で、分厚く重たい防護服を身に纏ったままだったから。







「すっごぉい!」



「え?」







顔を覆う防具に手をかけた所で、下の方から舌足らずなそんな声が聞こえてきた。




狭い視界の中、なんとか視線を下に向けると、そこにはまだ小学生にも満たない女の子が俺を見上げて目をキラキラとさせていた。







珍しい子だと思った。





普通ならこんな格好、怖がるはずなのに。







「かっこいー!!!」







寧ろ彼女はぴょんぴょんと飛び跳ねて喜びを全身で表現してくる。







「……かっこいいかな?俺」







防護服で顔が見えない時に褒められたこと(しかも幼女に)など無かった俺は、らしくなくそんなことを聞き返す。





くぐもった声が防護服の中で反響する。




やっぱり何度着てもこの服は苦手だ。


暑いし重いし、細かい動作がしにくい。






身を守るとは本来そう言うことなのだとは思うが。








「かっこいーの!ひーろーみたい!」








その言葉で、彼女が今の俺に何を重ねているのか少しだけわかった。





この子の目には今、俺は変身した後の正義のヒーローに見えているのだ。



まだ研修中だから、全然正義のヒーローではないんだけど。








「なるほどな、ヒーローか。お嬢ちゃんにそんなこと言ってもらえるなんて、お兄さんとっても嬉しいよ。ありがとう」




「えへへっ、ふふっ、どーたして!」







手袋越しにくしゃりと頭を撫でてあげると、彼女は嬉しそうに身を捩る。





無邪気だなぁ、ほんと。




こんな姿を見ていると、自分ももう若くないなと感じてしまう。







と言えまだ22歳。



気分はバリバリ現役だけどな。








「でもね、お兄さん、この服重くてあんまり着たくないんだ」








そこまで話して、子どもに何を話しているんだろうかとすぐさま我に返る。





少し話しすぎてしまった。



そろそろ集合がかかるだろうと立ち去ろうとすれば、そんな俺を引き止めるように女の子が声を上げた。







「___かめんやいば、もね、えっとね、おにちゃといっちょなの!」



「……一緒?」





「たーへんでね、おもたいー!なってね、でもね、たたかってうの!」







だからおにちゃもいっちょだよ。かっこいーの。




もう一度繰り返した名も知らぬ少女のお陰で、俺はこの服が少しだけ好きになれた気がした。








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宮野冬姫(プロフ) - 本当ですか!ありがとうございます!! (2022年7月10日 13時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» 分かりました!変更しても物語には影響がないので、水銀レバーに変えておきます! (2022年7月10日 9時) (レス) id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうなんですか!でも、松田は水銀レバーと言っていたので個人的はコナン世界に合わせてほしいです。生意気なこと言ってすみません (2022年7月10日 9時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 宮野冬姫さん» コメントありがとうございます!ご指摘に関してですが、現実世界だと水銀レバーではなく水銀スイッチというらしくて、間違いではないです!多分無駄にリアリティーを追求してしまったんでしょうね(笑)ご指摘ありがとうございます! (2022年7月10日 9時) (レス) @page29 id: 24145c4343 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 028の爆弾のお話、水銀スイッチではなく水銀レバーですよ!! (2022年7月9日 23時) (レス) @page29 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無糖 | 作成日時:2021年6月13日 18時

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