３話 ページ5
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「クソ女が！！！」
「悔しい！悔しい！悔しい！」
細かく切り分けた二匹の鬼はさっきからそう吠えている。
太く長い針で木に貼り付けられ、あとは朝日を待つまでだ。
「A、終わった…？」
おずおずと少年は閉じていた目を開ける。
生々しいものが貼り付けられた木を見ないように、少年は私の着物に掴まる。
『帰ろうか』
手を繋いで、踵を返した私に鬼は叫んだ。
「お前も死ぬんだよ！女！」
鬼は卑劣に笑っていた。
「いい事教えてやるよ。今一番近くの北の山で鬼殺隊の連中がうろうろしてる。奴らは徐々にこっちに向かってるんだ」
この土地は藤の木が多い為か鬼が少ない。
北の山となれば、急激に藤の木が減り鬼が多い。
本格的に駆除をしに来たのか……。
『じゃあ、あなた達は北から逃げて来たの？』
どちらも私の問いに答えなかったが、表情を見るあたりそのようだった。
逃げた鬼達を追ってこちらに辿り着くのも時間の問題｡
しかし、不思議と焦りはなかった。ただ、神経がピリつく。
口の達者な鬼がさらに煽るように続ける。
「さっきは気がつかなかったがてめえは今鬼の臭いが強い。人間のガキ連れてるワケだぁ」
＿＿＿＿問答無用で頸切られるなぁ
.
『…斬れるものなら、斬って欲しいけどね』
私の独白は声に出ていたのか、少年は私の手を強く握り締めた。
二匹の鬼は理解できない、と言った顔で私を見る。
『それじゃあ、最後の夜ごゆっくり』
私の声は酷く湿って重かった。
また鬼が騒ぎ出す。
再び踵を返そうとした私は微かな匂いと音を感じた。
突然、背後を突風が駆け抜ける気配がして、私は振り返ると貼り付けた筈の鬼の姿はない。
燃焼の臭いが鼻にきつい。
見開かれた灼熱の瞳に私は固唾を飲んだ。
『っ……！』
状況を理解する前に、まず最初に体が動いた。
少年をまた脇に抱えて、後ろへ十歩以上飛び退いたが、首に酷い痛みが走る。
『(首の皮を…切られた。)』
随分と早い到着だ。
斬られた首からとめどなく血が溢れて留まることを知らない。
燃えるような痛み…………日輪刀に切られるのは、数百年振りだ。
膝を着いた私の目には揺らめく炎が映っていた。
「ああすまない！＿＿＿＿＿次は確実に頸を撥ねてやろう」
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おもち - 赤い花白い花の歌詞が入っていてとても惹き込まれましたー！とても素敵です！！！ (2020年3月24日 21時) (
レス) id: 2fd70573e8 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - 小説も挿絵も何もかもがとても素敵でした……素晴らしい作品をありがとうございます…… (2020年1月25日 23時) (レス) id: 58113d68f6 (このIDを非表示/違反報告)
モルス(プロフ) - 涙が止まりません……こんな素晴らしい作品をどうもありがとう…… (2019年12月2日 14時) (レス) id: d7cc26133c (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - 香坂さん» 語彙力が！高い！！よもやよもやです……本当に書いていてよかったと感じました！これからも頑張ります！ (2019年10月12日 14時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
香坂 - 言葉使いや書き方、表現に引き込まれました。一つの本を読み終えた時のような気持ちになり、とても良い作品だと心から思いました。このお話が読めてよかったです。 (2019年9月18日 17時) (レス) id: c6f322a1f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛朗素 | 作成日時：2019年8月30日 21時
