10話 ページ12
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偽りも、ただ鬼を探る様子もない、真っ直ぐと「私」を見る煉獄さんは木漏れ日の気配がする。
私のことを知りたい____と言っても、そうすぐには提示できる情報が出てこない。
『えっ、と…さつまいも、あれは美味しい、ので好きです』
さつまいもの他にも薄いが味を感じられるものがあった。栄養にはならないけど。
なんとなく思いついたことを口に出すと、彼はニッカリと笑う。
「おお、そうか!俺もあれは好物だ。あれを食べると大声をあげたくならないか?」
……いえ、あなただけだと思う。
「今度来る時に持ってこよう。さつまいもが嫌いな人間はいないからな!」
本当に、優しい人……。
『……本当に、ありがとうございます』
「気にすることはない。あの少年の為だ」
目を細める彼には感謝しかない。
「鬼とこうして穏やかな会話をするのははじめてだ」
『私もです。この子しか喋る相手がいませんから』
少年はまだ私の布団の上で寝ている。
考えると、少年を拾うまで私は誰とも話さなかった。
「それでは俺は任務に戻る。今度君のことを教えてくれ」
はつらつとした声にハッとする。
「痩せ我慢は禁物だ。無理はするな」
唾を飲み込むと確かにこもる痛みが走る。
未だこもる熱量は喉を乾かすようだ。
不思議な気分。
私は、いずれ私の頚を撥ねる人とこうして殺気もなく会話をしている。
『はい、そのように努めます』
呼吸を使い、瞬く間に彼はいなくなっていた。
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おもち - 赤い花白い花の歌詞が入っていてとても惹き込まれましたー!とても素敵です!!! (2020年3月24日 21時) (レス) id: 2fd70573e8 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - 小説も挿絵も何もかもがとても素敵でした……素晴らしい作品をありがとうございます…… (2020年1月25日 23時) (レス) id: 58113d68f6 (このIDを非表示/違反報告)
モルス(プロフ) - 涙が止まりません……こんな素晴らしい作品をどうもありがとう…… (2019年12月2日 14時) (レス) id: d7cc26133c (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - 香坂さん» 語彙力が!高い!!よもやよもやです……本当に書いていてよかったと感じました!これからも頑張ります! (2019年10月12日 14時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
香坂 - 言葉使いや書き方、表現に引き込まれました。一つの本を読み終えた時のような気持ちになり、とても良い作品だと心から思いました。このお話が読めてよかったです。 (2019年9月18日 17時) (レス) id: c6f322a1f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛朗素 | 作成日時:2019年8月30日 21時