検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:362,974 hit

10話 ページ12

.


偽りも、ただ鬼を探る様子もない、真っ直ぐと「私」を見る煉獄さんは木漏れ日の気配がする。

私のことを知りたい____と言っても、そうすぐには提示できる情報が出てこない。


『えっ、と…さつまいも、あれは美味しい、ので好きです』

さつまいもの他にも薄いが味を感じられるものがあった。栄養にはならないけど。
なんとなく思いついたことを口に出すと、彼はニッカリと笑う。


「おお、そうか!俺もあれは好物だ。あれを食べると大声をあげたくならないか?」

……いえ、あなただけだと思う。


「今度来る時に持ってこよう。さつまいもが嫌いな人間はいないからな!」

本当に、優しい人……。





『……本当に、ありがとうございます』



「気にすることはない。あの少年の為だ」


目を細める彼には感謝しかない。


「鬼とこうして穏やかな会話をするのははじめてだ」


『私もです。この子しか喋る相手がいませんから』


少年はまだ私の布団の上で寝ている。
考えると、少年を拾うまで私は誰とも話さなかった。




「それでは俺は任務に戻る。今度君のことを教えてくれ」


はつらつとした声にハッとする。


「痩せ我慢は禁物だ。無理はするな」

唾を飲み込むと確かにこもる痛みが走る。
未だこもる熱量は喉を乾かすようだ。


不思議な気分。

私は、いずれ私の頚を撥ねる人とこうして殺気もなく会話をしている。




『はい、そのように努めます』



呼吸を使い、瞬く間に彼はいなくなっていた。







.

11話→←9話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (342 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
467人がお気に入り
設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

おもち - 赤い花白い花の歌詞が入っていてとても惹き込まれましたー!とても素敵です!!! (2020年3月24日 21時) (レス) id: 2fd70573e8 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - 小説も挿絵も何もかもがとても素敵でした……素晴らしい作品をありがとうございます…… (2020年1月25日 23時) (レス) id: 58113d68f6 (このIDを非表示/違反報告)
モルス(プロフ) - 涙が止まりません……こんな素晴らしい作品をどうもありがとう…… (2019年12月2日 14時) (レス) id: d7cc26133c (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - 香坂さん» 語彙力が!高い!!よもやよもやです……本当に書いていてよかったと感じました!これからも頑張ります! (2019年10月12日 14時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
香坂 - 言葉使いや書き方、表現に引き込まれました。一つの本を読み終えた時のような気持ちになり、とても良い作品だと心から思いました。このお話が読めてよかったです。 (2019年9月18日 17時) (レス) id: c6f322a1f4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:愛朗素 | 作成日時:2019年8月30日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。