34話 ページ37
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妙に反応してしまった自分の柔な身体が忌々しい。
接吻されて、あんなに困惑したなんて。子供じゃあるまいし。
急いで朝日太夫の所に戻った。
朝日太夫を含めて、数人の娼妓はほぼ全裸で酔い潰されていた。
『朝日、朝日』
「ん……?A、教祖様は……?」
『お帰りに』
「はァ……どうしよう、お見送りをしていないのに……店主様に怒られる」
鈍的な酔いに頭を抱えて唸る朝日太夫を他所に、私は酔い潰されてた娼妓達に着物を被せた。当分起きる気配はなさそうで、健やかな寝息が聞こえる。
お座敷に転がる空き瓶や、樽は全部空っぽで、自分が言ったからではあるが、よくもまあ飲み干したこと、と賞賛した。
『店はもう閉めるみたい。護衛の男の人を店主様が呼んでいたから、早く着替えた方が良さそう…………ねぇ、朝日、血が』
欠伸をした朝日の首元から血が落ちた。
ほんの数滴の血だ。
三日もすれば傷が塞がる具合の血だ。
薄く切られたような後で、一瞬だけ粒のような何かが光っていた。
私の指摘に朝日は袖口で首を隠す。
間の悪い顔をされてしまった後に、彼女は眉を歪めて完璧な比率で微笑んだ。
「首を引っ掻かれて、」
『お風呂から上がったら消毒した方がいいかもね』
『………娼妓で居て、幸せ?』
「ええ、とても。とても、幸せよ。あなたに会えたもの」
朝日は私を腕の中へと引き込んだ。
酒の匂いに隠れてか、血の匂いはしない。朝日に血の匂いなんて似合わない。
「毎日毎日、本当に怯える夜だった。でも、私、あなたが来てからちゃんと眠れるようになった………ずっと一緒にいたい。同じ存在になれたらいいのに」
静寂の中、朝日の喉が鳴った。
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叶(プロフ) - 更新待ってました!嬉しいです…! (2019年12月30日 15時) (レス) id: 64286635fd (このIDを非表示/違反報告)
はっか糖(プロフ) - 作品の雰囲気が素敵です… 有難うございます…!! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 5853246d58 (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - ぶちゃさん» だ、大丈夫か!!!!!! (2019年11月4日 17時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
ぶちゃ(プロフ) - あっっっっっ(尊死) (2019年11月4日 16時) (レス) id: fb2695ac36 (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - オルガさん» 頑張ってます!!ありがとうございます!!返信遅れてすみませんでした!これからもよろしくお願いします! (2019年11月4日 15時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛朗素 | 作成日時:2019年10月27日 10時