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31話 ページ34

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「体はさ、大事にしないとダメだよ」


気づいた感じで上弦の弐が言う。


は???体を大事に???それを、私の体散々いたぶったオマエが言うわけ???
徳利の中の、高い酒が揺れた。下品で上品で、甘い香りがする。


『大事にしたいところですけど、無理ですね』


……オマエらがいる限りは。


「いいなァ〜いいなァ〜、やっぱり君はいい」


とことんズレた鬼だ。
だからこそ、目が話せない。



「今晩はやはり、君にしようか」



右耳に口を寄せられ、注ぎ込まれたその言葉。
さらに近い距離も、甘々と稲妻のような過剰なすきんしっぷも通り越して、この鬼は会う度に私を凍り付かせる。

私を掌握しているつもり?


今晩は君にしよう。


こうして私を引き寄せたのもまたの品定めか、依然として私は捕食対象ないのか。
それとも____娼妓を攫って、昨日は殺したのはオマエなのか。



『お戯れを、……私は遊女ではありま』

「知ってるよ_______可愛い、お・に・が・り」



そんなこと言われたら限界だ。嗚呼、逃げ出したい……!!と言うか、今すぐ首を飛ばしたい。覚悟しておけよ、この野郎!!!

何も知らず、耳元で囁かれて嬉しがりたい……!!!




『私と遊んでくださるなら、まずは強ぉいお酒、飲み干してくださらないと』




精々言い返せた言葉である。
不器用で無愛想な兄弟子に代わって、私は笑顔が得意だ。この鬼に負けず嘘っぱちに笑って、笑顔でお膳の下で中指の骨を鳴らしてやった。


「それは楽しみだなァ、頑張って飲むとしようか」


私は席を立つ。傍らで心配そうに私を見ていた朝日太夫に役目を返して、お座敷から抜け出す。
そっと護衛をする素振りを見せて、下宿部屋に忍び足で向かった。






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「飲み干したけど、戻って来る気配ないな」





童磨は呟いた。
周りには酔い潰れ気を飛ばした朝日太夫やその他娼妓が転がっている。

大勢で快楽にふけるのは楽しかったが、どうもイマイチ気が進まない。
しかして、氷の呼吸の少女との戦いにお遊びを思い出せば思わず股間が熱くなる。

飛んでいる娼妓達の頬を軽く叩くが呻くばかりで、相手にならない。



「目的は、遊女を攫う鬼か……はあ…なんなら、俺が攫っておけばよかった」



夜はまだ深い。
食欲はあるが、転がる娼妓に手を出すつもりはなかった。



「おやすみ、お嬢さん達」



童磨は座敷を後にした。



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(プロフ) - 更新待ってました!嬉しいです…! (2019年12月30日 15時) (レス) id: 64286635fd (このIDを非表示/違反報告)
はっか糖(プロフ) - 作品の雰囲気が素敵です… 有難うございます…!! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 5853246d58 (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - ぶちゃさん» だ、大丈夫か!!!!!! (2019年11月4日 17時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
ぶちゃ(プロフ) - あっっっっっ(尊死) (2019年11月4日 16時) (レス) id: fb2695ac36 (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - オルガさん» 頑張ってます!!ありがとうございます!!返信遅れてすみませんでした!これからもよろしくお願いします! (2019年11月4日 15時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛朗素 | 作成日時:2019年10月27日 10時

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