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27話 ページ30

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ふと、誰かが叫んだ気がした。



私は今、襖を背中に廊下に正座して座っている。
背にしている襖の奥では朝日太夫が男に抱かれ、快楽にのたまわる過激な吐息が時より聞こえた。

夜のお供の仕事の最中も朝日太夫の護衛のため、情交が済むまでこうして襖の前で待っている。
変に反応したりはしない。ただ、心が痛むだけだ。


『(……随分と…激しい顧客……)』


目を瞑り、膝の上に手を重ね、瞑想をする。精神統一の一環で、悲鳴嶼さんからの直伝。

人間の神経は気づかないところで崩される。
環境の変化はともかく、花街という目まぐるしいところにもう数週間以上も滞在しているから、焼けが回っても可笑しくないのかもしれない。


そんなヤワな鍛え方してないけど。


瞑想が一瞬乱れた。
糸が解れる音が聞こえる。



ふと、誰かが叫んだ気がした。




『(なに、今の声……?!)』




確かに聞こえた。注意していないと逃してしまう短くか細い悲鳴。

妖怪……?まさか、それはないでしょう。そうであってくれ。


すぐさま行きたいところだが、人気太夫の一角にいる朝日を置いてはいけない。


私は勢い良く襖を引いて、ずかずかと部屋に入った。

朝日と朝日を買った男は驚いて、私を見る。




『ごめんなさいねッ……!』




男の首に手刀を叩き込み、気絶させる。




『ごめんなさい、朝日。着物を着てついてきて、急いで』




朝日は一瞬で顔を真っ青にさせたが、何度も頷いて着物を軽く身につけた。
細い手を引っ張って、私は隣の店に押し入る。


店の人間は騒いだ。


私はお構いにしに、次々と襖を開けていく。


そうして、たどり着いた。




「ひぃッ……!!」




朝日が怯え、私は血の匂いに鼻を潜める。

朝日の背をそっと押して部屋の中を見せないようにした。




その部屋には、娼妓の生首と腕が転がっていた。

まだ暖かな死体の一部から血が出ている。




『間違いない、ここの花街には鬼が出るんだ』




腕に残された鋭い噛み跡が証拠づけた。





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(プロフ) - 更新待ってました!嬉しいです…! (2019年12月30日 15時) (レス) id: 64286635fd (このIDを非表示/違反報告)
はっか糖(プロフ) - 作品の雰囲気が素敵です… 有難うございます…!! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 5853246d58 (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - ぶちゃさん» だ、大丈夫か!!!!!! (2019年11月4日 17時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
ぶちゃ(プロフ) - あっっっっっ(尊死) (2019年11月4日 16時) (レス) id: fb2695ac36 (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - オルガさん» 頑張ってます!!ありがとうございます!!返信遅れてすみませんでした!これからもよろしくお願いします! (2019年11月4日 15時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛朗素 | 作成日時:2019年10月27日 10時

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