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9話 ページ12

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鬼が扇を閉じて、硬直する私の視線の先を見つめた。
鬼特有の気配も何も感じなかった。


硬そうな皮膚をした、巨大な顔で体は華奢でお腹はボッコり出ている。小さい手の指をつんつんとして、依然私を見て、理解できない言語を喋る。


明らかな魑魅魍魎の類である。
なにも感じない。なんの雰囲気を感じない。あるのは無だけ。


沈黙が続く。そして、怖い何かは急に動き出し、私目掛けて突進してきた。どうしようもなく怖かった。


突然の事で動きずにいた体は浮いた。

「おっと」

『は?!ちょっと、』

さっきまで戦っていた鬼が私の体を攫い、瞬く間に木の上にいた。

「下を見てご覧」


言われた通りに下を見ると、木の根元には気味の悪い生物が群がって木の幹を引っ掻いている。


『ひェ』


私の反応に彼はクツクツと笑った。


『あれは何』


私は聞いた。


「古くから日本に住まう鬼だよ。山とかね」


鬼は顎に手をあてて首を傾げる。


『身内ではないの』


「違う違う、もっと神聖で生臭い。神様の廃れさ」


今日は新月で百鬼夜行だから、山でこういう騒ぎ方すると出てくるんだ。あの御方は結構いろんなところに喧嘩売って逃げ回っているからさ〜我々にもとばっちりが来るの。あーいうのを倒すのも俺達の仕事の一貫だよ。やってらんないよね〜。

へえ、大変なんだ。私は鬼相手に相槌を初めて打った。

あの御方とは、鬼舞辻無惨の事だろうか。


『ヨーカイ?』



「うんそんな感じ」



『妖怪なんているんだ。死にそうなひいおばあちゃんが裏山の妖怪が私を狙って、殺そうとしているんだって、黄泉比良坂とか言いながらが死んじゃったけど、それもあーいうのが原因?』


鬼は腹を抱えて大笑いした。
私は木に体を預けて、怪我した場所に布をちぎった包帯を巻く。


「いやそれはよくわかんないなァ」


息を整えたあと言われた。


「少し待っていてよ。続きはそれからにしよう」


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(プロフ) - 更新待ってました!嬉しいです…! (2019年12月30日 15時) (レス) id: 64286635fd (このIDを非表示/違反報告)
はっか糖(プロフ) - 作品の雰囲気が素敵です… 有難うございます…!! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 5853246d58 (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - ぶちゃさん» だ、大丈夫か!!!!!! (2019年11月4日 17時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
ぶちゃ(プロフ) - あっっっっっ(尊死) (2019年11月4日 16時) (レス) id: fb2695ac36 (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - オルガさん» 頑張ってます!!ありがとうございます!!返信遅れてすみませんでした!これからもよろしくお願いします! (2019年11月4日 15時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛朗素 | 作成日時:2019年10月27日 10時

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