百日草 (ページ9)

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○ ページ9

黄side

「慎太郎。慎太郎起きれそう？」

「はぁっ、こーち…おはよ」

「うん。おはよう。しんどいな。仕事頑張れそう？」

「いけるっ。ごめん熱出して…昨日からしんどかったから早くねたんだけどっ、今朝起きたらこんなんで…」

見慣れない厚着の慎太郎は、着込んだ服の上からでも発熱してるのが分かるくらい熱い。

「こーち、さむぃっ」

「まだ寒いか。熱あがっちゃうかな。」

寒がる慎太郎のおでこから冷えピタをはがして、内輪の会議だけだから大人しくしとくように伝えれば、不甲斐ないとでも言いたげに俯く慎太郎は随分痛々しかった。

「今日はよろしくお願いします。」

入ってきた俺らを見てスタッフさんたちが驚いた顔を見せる。そりゃそうだ。いつも元気すぎてうるさいくらいの俺らが見るからに絶不調なんだから。

「ちょ！髙地くん！」

取りまとめ役の偉い人に呼ばれて部屋の隅に連れてこられる。

「一体どうしたんだ！みんなして。揃いも揃って体調悪そうじゃないか。」

「申し訳ありません。ツアー終わりで気が抜けて体調管理がおそろかでした。ご迷惑お掛けしないようにしますので…」

「いや、そうじゃなくて。体調悪いんなら後日でも構わない。今日は別のお仕事で北斗くんも来られないんだろう？6人揃える日にリスケしたらいい。」

北斗、仕事で来れないことになってんのか。

6人揃う日。そう簡単には来ない、恋しい日常。もしかしたらこの先ずっと来ないかもしれないかつての日常。

北斗のことを思った途端、胃がギューッと痛んで言葉が詰まった。

顔色に出ないように。前傾姿勢にならないように。
俺まで体調悪いと悟られないように。