百日草 (ページ35)

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黄side

「おれ、癌なんだって。」

頭をぶん殴られたような衝撃が走った。いま癌って言った？数日前まで一緒に仕事をしてて、数週間前までツアーを回っていた北斗が？

「脳に腫瘍があって明後日の朝には手術。成功率は50パー。手術のあとは抗がん剤とか放射線治療とか、まあいろいろ。」

つらつらと、どこか冷めたような口調で話す北斗。辛いだろうに、怖いだろうに、俺に心配掛けまいと気丈に振る舞ってるであろうことは容易に想像つく。

もちろん俺だって理解が追いついてない。脳に腫瘍があるとか、手術だとか成功率だとか。

何ひとつ理解はできてないけど、それよりも目に光の宿って無い北斗を、今は守らなければならない。

「北斗。言ってくれてありがとう。今まで、ひとりで我慢させてごめんな。」

「…っ」

伏し目がちに喋ってた北斗が目を見開いて俺の顔を見た。

「どうした？」

「なんでそんな優しいのさ。邪魔じゃないの？待っててもらったところで復帰の見込みもない。50%の賭けに負けたら俺はもう終わりなの！手術がもし成功してもそれで完治じゃない。いつ治るのかもわからない。いつ再発するかも分からない。いつﾀﾋぬかもわからない！そんなヤツ要らないに決まってるじゃん！」

初めて北斗の心の内を見せてくれた気がする。溜め込んで、偽って、平気なフリをしていた北斗の本当の苦しみ。

「北斗がもとどおり元気になって、SixTONESに復帰したらそれは1番いいことだよね。もちろん俺だって完治してほしいと思ってる。でもね、もし北斗がそうならなくても、俺らは友達に戻るだけじゃん？友達としてさ、一緒に闘わせてよ。ありきたりだけどさぁ…ほら、幸せは6倍に、辛いことは6等分。ね？」

こくこくと、必死にうなづきながら泣きじゃくる北斗。友達として、北斗は俺の思いを受け入れてくれたらしい。

　