○ ページ2
青side
俺ときょも以外は出掛けていたらしく、静まり返った会議室には滝沢くんと、マネージャーさんたちと俺らふたりのみ。もれなく全員暗い顔し、重苦しい空気が充満していた。
聞きたいことは山ほどある。聞かなければならないことも分かってる。でも、あの電話が真実だと思いたくなくて何ひとつ声を出せない俺はとんでもない意気地無しだ。
「あの、北斗って…。」
痛いほどの沈黙を破ったのはきょもだった。
滝沢くんが、こっちを見ずに俯いたまま、無言で一通の封筒を俺らの机の上に置いた。
恐る恐る手に取れば、見慣れた北斗の字で “退職願” そう書かれている。
『一身上の都合により退所させていただきます。多大なご迷惑をお掛けすることと思います。大変申し訳ありません。これからは、いちファンとしてSixTONESを応援していく所存です。5人をよろしくお願いします。』
怒りやら 悲しみやら 絶望やら 後悔やら。感情の収集がつかない。気づけば俺は叫んでいた。
「北斗はこんなこと絶対しない!北斗が居なくなるなんてありえない!5人になんてならないから!」
頭ではわかってるんだ。
やけにバタついてる事務所が。滝沢くんの神妙な顔が、顔面蒼白な北斗のマネージャーの姿が、そして何より、紛れもなく北斗の字で書かれたこの文章が。これが現実だと俺に突きつけてくるから。
「それは今朝方事務所に届いた。この話はここにいる人間と、幹部たちしか知らない。そして俺は、北斗から直接話を聞くまではその辞表を受け取るつもりもない。」
「じゃあっ、!じゃあ北斗をここによんで…」
「お前もわかってるだろ。」
俺の言葉を遮るように滝沢くんが語気を強めてそう言う。
分かっている。滝沢くんが言いたいことも。北斗がここへ来ることなどないことも。
滝沢くんからの電話で家を飛び出してから、何百回北斗に連絡したことか。何回電話をかけても、LINEをしても。北斗から返事が返ってくることはなかった。
「…………ほくと。…おれのでんわだけは出るんじゃなかったの…?」
心が現実に追いつかない。眼の前が真っ暗になった。
769人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
jurimomo0618(プロフ) - いつも更新楽しみなしてます‼︎ (2022年7月18日 22時) (レス) @page33 id: bbafa7c774 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひいらぎ | 作成日時:2022年5月11日 22時