百日草 (ページ7)

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○ ページ7

黄side

「ジェシーっ！どうしたの！」

「分からん。ロビーでぐったりしてて。行くって言い張るから連れてきた。」

なんとか歩いてはいるし、返事はないけど声を掛ければ視線は合うからひとまず車に乗せる。最大限背もたれを倒してそこにぐったり寄りかかるジェシーは、いつもじゃ考えられないくらい厚着をして蒼白な顔をしていた。

詰まるような息が落ち着いてきたのを見計らって声をかける。

「ジェシー？どこが調子悪い？」

ゆるゆると、かったるそうに目を開けるジェシー。顔色が悪いせいで、目の下のクマが酷く際立っていた。

「寝れてないの？」

ジェシーは聞くなとばかりに再び目を瞑った。ここ数日の彼の仕事はさほど詰まっていたわけじゃない。むしろいつもに比べたら余裕がありすぎるくらいだ。

忙しさゆえに眠れてないわけじゃないとするなら…。

「取り敢えず現場連れてって。」

「えっ。行かせられる？ジェシー。」

「出来るかは分からないけど、家に一人にしとくより連れてったほうがいい。会議だけだし、無理そうなら寝かしとくから。」

たった1人。北斗が居なくなっただけなのに。俺らはこんなにもすぐ崩れてしまう。中学から連れ添ってきた仲間を失った俺らは、随分と脆くなったらしい。

あのあとジェシーが目を開けることはなくて、かと言って眠れているわけでもないらしく、駐車場に車が停まると緩慢に起き上がって車を降りた。いや、正確には降りようとした、と言ったほうがいいかもしれない。

地面についたジェシーの脚には全く力が入ってなくてそのまま膝をつくように地面に座り込んだ。マネージャーと2人、慌てて駆け寄ると、ジェシーは一言、「ごめん。」と呟いた。

ひょろい俺と違ってガタイのいいマネージャーが逞しい腕でジェシーを支えて歩く。数は歩くごとに座り込みそうになるジェシーは本当にしんどそうだった。