【文スト】中原中也にドジな側近ができました

ー５話ー ページ6

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「ーーーーきろ、ーーーい、起きーーー」


何か聞こえる。微かに。

頭は勝手に働くのに身体は動かない。


頭が柔らかいものに乗っている。

「おい、起きろ！着いたぞ。」



「ひゃい！」

気の抜けた変な声が出る。


目がぱちっと開く。

目の前には、中原幹部がいた。



………なんで？


「え、あ、えっと………」

「だから、着いたぞ。手前が降りねえと俺も降りられねェんだ。」


「え？」




頭をフル回転させる。

頭に柔らかな感触……………


…膝枕？



「すみません！！！い、今すぐ降ります！！」



慌てて私は飛び起き車から降りた。

「いや、気にしてねェよ。じゃあ、書類作業を教えるな。」



すぐに中原幹部も降りてきて、着いてこいと云われた。

私はたったっ、と着いていく。




ーーーーーーーーーー





「中原幹部、早い、…ですよ、………」


幹部の執務室はかなり遠かった。

まず、建物自体高いのだ。

エレベーターで登るとはいえ中原幹部に着いて行くのは大変だった。



「此れ位着いて来れねえと後で大変な思いするぞ。」

「は、い……」


「じゃあまず、簡単な作業からな。ーーー………」





ーーーーーーーーーー



「………………多くないですか？」

「此れ位は出来ねえと即処分だ。」


即処分。

その言葉に背筋が凍る。



「厳しい、組織なんですね。」


「そうだな。

まあ手前は異能力者だから可能性は少ねえんじゃねえか。」



そうか、確かに。

と納得する。



元来何もできない私が孤児院から拾われた理由なんて

当然、異能力というもののお陰だった。


そりゃあ、利用価値があって当然か、と思う。



「手前の異能力は資料で見た。便利な異能だが……


其れ以外だな。手前は子供すぎるんだよ。

子供らしさが仇になる。

確かに孤児院育ちだし戦闘経験もねえからしょうがないけどな。


この組織に入る以上、戦略とかを身につけないといけねえ。

そう云うのは太宰が一番か………



否、そんなことは関係ねえんだ。

書類作業はしっかり覚えたか？」




中原幹部の、有難い御噺。

子供っぽいとは云われたが、私は其れについて何も云えなかった。


でも取り敢えず、書類作業だけは覚えられた。

「はい！覚えました！」



「……よし、偉いな。」


中原幹部は立ち上がり、私を撫でる。

「なっ、………



もう、辞めてください…ほんとに………」



また、子供扱い。

でも、ちょっと嬉しかったかもしれない。

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