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「…あっ。」
朝礼に向かう廊下で、ウツは唐突な郷愁に駆られた。
足が止まる。耐えきれず、しゃがみ込む。
項垂れて奥歯を噛み締める。ぴんと張った朝の空気の中に、
五感の中で一番最後まで残っているのは、嗅覚だという。
香水だと思った。多分母がつけていた、その魔物のような香りは妙に儚い美しさ、花畑のようなひだまりの暖かさ、早朝のようなさっぱりした清潔さを持ち合わせていた。
ボリボリ喉引っ掻いて、ウツは身震いした。
だらしなく涎を垂らしながら、これは何処から香っているのだろ、誰が着けているのだろ、と薄ら考えた。
しゃがみ込んで、情けない格好しているが、もしもこれを着けた美しい女が目の前に現れたなら、それはきっとほっそりと清潔な女なのだろう、そしてその女を見たら、おれはシャンと立って自分を善い男に見せなければならないと思ったからだ。
「おはようございます」
ハッと顔を上げると、Aがひっつめ髪で立っていた。久しぶりに顔を見た気がする。前より幾ばくか柔らかな、女性らしさを纏った表情でこちらを見下ろしている。ウツはいまだしゃがみこんだまま、ちょっと首を動かしてみせた。
Aは体調がよろしくないかしら、などと囁いて、ウツの前にしゃがみ込む。
瞬間、あの香水の香りを浴びた。
カッと頭が熱くなった。どうしてお前が、と喉の奥で発した言葉は、言葉となる前に消えた。
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飼い主の姉(プロフ) - pnさんが夢主に狼狽する姿や描写が可愛くて好きです〜…！！🫶 無理しない程度に更新頑張って下さい！ 応援しております (12月5日 14時) (
レス) @page12 id: 5ee2b54502 (このIDを非表示/違反報告)
_maimai0101_(プロフ) - ｽｷﾃﾞｽ……夢主ちゃん頑張って〜〜〜〜！！！！生姜焼き太郎さんの世界観好きすぎます……！！！続き楽しみです🫶更新待ってます〜！！！！！ (10月16日 17時) (レス) @page8 id: cc01457125 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - 読みやすくて、とても面白かったです。続きも楽しみです🫶🏻🫶🏻 (10月16日 13時) (レス) @page8 id: d6054e066b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生姜焼き太郎 | 作成日時：2023年10月15日 11時
