Ep.10 捕獲 ページ11
「……あぁ、捕まったな」
困ったように眉が下げられる。流石に駄目かと思ったがやはりAの思った通り、リヴァイは優しいらしい。
「じゃぁ、僕も壁外調査に!!」
「駄目だ。巨人が体制を崩したお前を受け止めると思うか?」
痛いところを突かれて目を逸した。確かに巨人に受け止められればそのまま潰れるほどの熱い抱擁を喰らうことになることは分かるが、それでも自分だって戦えると証明したい。
「いつも俺ばっか留守番で、俺も役に立ちたいのに」
みんなズルい。と口を尖らせた。こんなことをしても何もならないことはわかっている。Aにはリヴァイが壁外へAを連れて行く気がないことくらい察しがついていた。
「お前は訓練兵としての然るべき手順を踏んでいない。殆どが帰ってこれない。帰ってこれても死体の壁外調査にお前を連れて行くのは無理だ」
「兵長に鍛えて貰ったから……」
「お前は俺に引き取られる前に何人殺した。どれだけ殴った。どれだけ鍛えた。無いだろ?」
お前に教えたのは訓練兵としての最低限だ。
そう言い切られて目に膜が貼った。てっきり、これさえ乗り切れば認めてくれると思いこんでいたのだ。努力すれば努力した分だけの対価が得られると信じて止まなかった。
自分が求めたものはこの程度の対価で得られる物ではなかったのだ。
「ごめんなさい。もう、言いません」
下ろしてもらえるように肩を押して、木の枝へ足を伸ばす。決して平らではない木の上は不安定である。伸ばした先の枝も例外ではない。むしろ平らではない上に斜面までついているのだから最悪である。
「戻りましょう。せっかくの夕飯に遅れてしまいます」
今日はスープに肉が入っているのだ。早く行かないと他の兵に食べ切られてしまうだろう。と腕を引いた。正直立場的には上官に値するリヴァイは急がなくとも食事くらい用意してある筈だが、Aが腕を引くので何も言わないことにした。
「アレ。Aは?」
「Aなら兵長と訓練です。今日は試験が有るとか」
「どぉ〜〜してそれを早く言わないの!!」
基地探しても居ないわけだよぉ〜!!
そんな声が兵団内に響いた事を当の本人達は知るわけもないし、それより前には彼女の班によって彼らの捜索が行われていた事なんて最もである。
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作者名：訓練兵【エラーコード：0330】 | 作成日時：2023年3月27日 11時
