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「え、お家デートってやるんじゃないの?」
『はぁ、脇に言った私が馬鹿だった』
"お家デート"か
そんな甘々な妄想は彼女の声でかき消される
『最近どう?楽しい?』
「楽しいよ。ライブも満員だしね」
『そっか』
急に彼女の声が寂しそうなものに変わる。
「A?」
『あ、いや、ファンが増えるのは私も超うれしい、けど...』
「けど?」
『有名になりすぎちゃって、私のことなんかいつか必要なくなっちゃう日が来るんじゃないかな、って』
何時になく弱気な彼女の言葉に、少し驚く。
そんなの、あるわけないのに。
彼女の肩に腕を回し、抱き寄せる。
甘い匂いがふわりとした。
「俺はAがおらんとダメやけん。てか、Aがおらんと俺のご飯は誰が作ると?」
彼女は何も言わない。
「それに、いつか俺の奥さんになってもらわなんけんね」
あれ、俺今凄いこと言ったんじゃ...
『ふふふ、ありがと』
Aが腕の中でくすくす笑っている。
『でも、奥さんはまだ気が早いかなぁ』
彼女が顔を上げる。
目と目が合う
『ありがと、脇』
.
.
あれからどれくらい経っただろうか。
あれから彼女はまた俺の肩に頭を載せ、スマホを眺めていた。
俺はと言うと、先程の発言を思い返し、1人で猛烈に恥ずかしくなって、スマホを弄ることで、冷静を装っていた。
"ありがと、脇"
さっきの笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。
ちらりと彼女の様子を伺う。
彼女は相変わらずスマホを眺めているらしかった。
今だ
「あのさ、」
「この前も言ったと思うけど、俺、Aのこと好きだもん?」
静かな事務所に自分の声だけが響く。
「笑ったところめっちゃ可愛いし、なんかいい匂いするし、ご飯ばりうまいし。全部好き」
「えーっと、だから、奥さんはまだ早いので、俺の彼女になってくれませんか?」
そこまで言って彼女の方を見ると、彼女の体が自分の方へ倒れてくる。
「...え」
慌ててAの顔を覗き込むと、彼女は寝息を立てて幸せそうに眠っていた。
「まじ、か」
ということは、俺の今の一世一代の告白は聞かれていなかったということになる。
「恥ずかし...」
彼女を起こさないようにゆっくりと自分の太ももの上に頭を載せる。
顔にかかった髪をどかそうと、頬にふれると、彼女は寝惚けているのか、俺の手を握ってきた。
あぁ、なんだか俺も眠くなってきた。
彼女の頭を優しく撫でる。
「好きだよ、A」
そうして、脇将人は瞼を閉じた。
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はな(プロフ) - ゆりりんさん» こちらこそありがとうございます!どんどん騒いじゃってください笑これからもよろしくお願いします(;_;) (2019年10月29日 16時) (レス) id: dc8bc131de (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん - ありがとうございます!!騒いでしまいました(笑)(笑) これからも、更新ガンバって下さい! (2019年10月26日 23時) (レス) id: 3aa826c620 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん - 生理ネタ、書いてほしいです!! (2019年7月27日 0時) (レス) id: 3aa826c620 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - あおさん» ありがとうございます!これからもがんばって書いていくので、よろしくお願いします! (2019年2月18日 17時) (レス) id: e48151f9dc (このIDを非表示/違反報告)
あお - 終わり方すごすぎ!まるのめっ↑ちゃキュンキュンしたんだけど マジこの作品好きだわー (2019年2月15日 19時) (レス) id: 66f0193b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2019年2月2日 18時