検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:78,359 hit

脇にお返しされてみた ページ22

『わき、近い。』
「いいやん、どうせ喜んどるくせに」
『...』

彼女が嫌そうな顔で俺を押しやってくる。
が、それに気づかない振りをして俺はスマホの画面に目を落とした。

2人きりの静かで広い事務所のリビング
他にも沢山座るスペースはあるのに、わざわざ彼女の隣に来たのは決して不純な動機ではない。


ない、はず...


Aがふわりと欠伸をして首を回すと、首から凄い骨の音がした。

「すごい音したばい?」
『最近肩痛いんだよね。スマホ首?とかいうやつかな〜』

怠そうにAが柔らかいソファの背もたれに首をのせる。
が、あまりしっくりこないらしく、何度も、もぞもぞと頭を動かしていた。

「肩、のせていいよ」
『ありがと』

彼女がゆっくりと頭を俺の肩にのせる。


なんか、恥ずかしいな


こんなことで恥ずかしいなんて中学生の恋愛か、と思ったが、実際やってみると恥ずかしい

が、のせていいよ、と言った手前、どかして、とは言えない


そんなこんなで悩むこと約30秒。


ふと彼女の顔が気になって、ちらりと横目で確認する。
どうやら彼女も緊張しているらしく、ちらちらとこちらを見ていた。

「A?」

俺が視線に気づいてないと思っていたらしい彼女が、慌てて顔をそらす。

「なんした?」
『べ、別になんでもない』
「えー、気になる」
『ほんとになんでもにゃ...』
「噛んどるやん」

スマホを置き、Aの顔をじっと見つめると、彼女は恥ずかしそうに目線を逸らした。

『なんかついてる?』
「なんもついとらんよ」
『...脇』
「なに?」
『歯にのり付いてるよ』
「えっ」

慌ててスマホのカメラで確認する。

『嘘だよ』
「はぁ!?」

嘘かよ、焦った...

そんな俺の様子を見て、彼女が吹き出す。

『ふふっ、脇がめっちゃ見てくるけんお返し』
「まじ焦った...」

そうしてまた元の体勢に戻り、彼女が俺の肩にもう一度頭をのせる。

平和だなぁ。

つくづくそう思う。

事務所にいれば、昼はチバニャンか社長、たまにふぉい。
夜には銀太とまるがいて、こんなに近くでAと、しかも二人きりで過ごすなんて機会はない。


これは結構幸せかも...


そんなことを考え、頬が緩みかけて、慌てて引き締める。

にやけきった自分の顔など、想像しただけで気持ち悪い。

『なんか、カップルみたいやね』

驚いてAの方を見ると、彼女はにっこりと笑ってこちらを見た。

『"お家デート"てやつみたい』

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
291人がお気に入り
設定タグ:レペゼン地球 , 小説
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

はな(プロフ) - ゆりりんさん» こちらこそありがとうございます!どんどん騒いじゃってください笑これからもよろしくお願いします(;_;) (2019年10月29日 16時) (レス) id: dc8bc131de (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん - ありがとうございます!!騒いでしまいました(笑)(笑) これからも、更新ガンバって下さい! (2019年10月26日 23時) (レス) id: 3aa826c620 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん - 生理ネタ、書いてほしいです!! (2019年7月27日 0時) (レス) id: 3aa826c620 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - あおさん» ありがとうございます!これからもがんばって書いていくので、よろしくお願いします! (2019年2月18日 17時) (レス) id: e48151f9dc (このIDを非表示/違反報告)
あお - 終わり方すごすぎ!まるのめっ↑ちゃキュンキュンしたんだけど マジこの作品好きだわー (2019年2月15日 19時) (レス) id: 66f0193b88 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はな | 作成日時:2019年2月2日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。