【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ10)

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第59話ページ10

円堂は「も、もうちょっと欲しいなあ…」と指を咥える。お日さま園で緑川や南雲と並ぶくらいには食べる如月も、これではすぐにお腹が空いてしまいそうだと物足りなさそうにご飯を見つめた。

「こうなったら、おかわりしまくるっス!!」

『その手があった…!』

拳を握る壁山の言葉に、如月はハッとして生気を取り戻す。しかし古株が「悪いね、おかわりなしだ。腹8分目で頑張りな」と掲げた空の炊飯器を見ると、またすぐに項垂れた。これには雷門イレブンも「ええーっ!?」と声を上げる。

「監督の指示よ。スピードアップのため、筋力強化を意識した食事を用意したわ」

「カロリー計算も完璧です!」

「それから、一度口に入れたら30回噛むようにって」

木野の言葉に驚いて、円堂は思わず「30回!?」と耳を疑った。木野は「消化吸収率が良くなるんですって」と補足する。たしかに彼女の後ろにある黒板には「30回かむように」と書かれていた。
姉さんの指示と聞いて果たして皆は素直に従うだろうか――如月に過った不安は杞憂だったようで、円堂は壁山の背中を叩く。

「よし、壁山! 勝つためだ。30回噛むぞ!!」

『…!』

理由を知って何の躊躇いもなく聞き入れた円堂に、如月は内心驚いた。
チームメイトが瞳子に不満を持っていても、円堂はそれに流されることなく自分の信じたものに従って行動している。彼のような素直で寛大な人物がいなければ、瞳子が雷門イレブンとやっていくことはできなかっただろう。如月は改めて円堂の存在に救われていることを実感した。

＊

翌朝、朝食を目の前にした壁山は「朝はいっぱいあるっスね!」と嬉しそうに言った。白米のおかわりも1杯まで許されることを古株から聞き、これなら安心だと如月も満面の笑みを見せる。

「1日の元気のもとは朝食にあり! 朝とお昼はしっかり食べてね」

「「はーい!!」」

他のメンバーも朝食の量に満足したのか、声を揃えて元気に返事をした。しかしその直後の「ただし、夜はおかわりなしよ」という夏未の言葉で、昨日の夕飯を思い出して「ええーっ!?」と声を上げる。

「それと、30回噛むのをお忘れなく!」

忘れかけていたルールを音無のおかげで思い出し、雷門イレブンは咀嚼回数を数えながら朝食を食べ始めた。昨晩の就寝前から空腹だったこともあってか、朝食をしっかり食べられることが嬉しくて、如月は白米を大きく1口口に入れる。

今日も1日頑張れそうだ。如月は回数を数えながら白米の甘みを噛み締めた。