【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ7)

今日:7 hit、昨日:42 hit、合計:10,037 hit

第56話ページ7

吹雪が自身の近くを通り過ぎていくのを、目金と栗松は「おお〜」と目で追う。今まで誰かがスノーボードをする様子を間近で見る機会が然う然うなかった2人は、何かが近付いていることに全く気が付かなかった。

「め、目金さん! あれ!!」

ふと雪玉の存在に気付いた栗松が声を上げる。しかし時既に遅しであり、2人は雪玉に巻き込まれると滑走路の方へ転がっていってしまった。白恋イレブンが転がした雪玉がまだ残っていたのだ。

「「うわあああ!!!」」

雪玉になった2人は反対側まで転がっていくかと思われたが、勢いが雪玉の強度に勝り途中で音を立てて砕け散った。その衝撃で周囲の木が揺れ、積もっていた雪が音を立てて落ちていく。

颯爽とした滑りを披露していた吹雪は、その音にハッとして滑るのをやめるとその場にしゃがみ込んだ。揺れを感じた如月も顔が強張り、瞳を小さく震わせる。

「吹雪!」

吹雪を見ていた円堂と風丸が、急いで彼に駆け寄った。円堂が「大丈夫か?」と声を掛けると、吹雪はゆっくりと顔を上げてぎこちない笑顔を見せる。

「ごめんごめん、ちょっと失敗…」

円堂は彼が無理をして笑っていることに気付いたが、まだ知り合って間もないこともありそれ以上は何も訊かなかった。

＊

物は試しということで、雷門イレブンはスノーボードによる特訓をするために準備をしていた。
「結構似合ってるじゃん」「どうも〜」塔子が土門の格好を褒める奥で、音無が鬼道にスノーボードの経験の有無を訊ねている。彼は肯定も否定もせずに「まあ見てろ」と立ち上がった。

「それにしても、いつからこの特訓を?」

「特訓って訳じゃないんだ。小さな頃から、遊びの中で自然にね」

鬼道に訊かれ、吹雪は滑走路を見つめる。その瞳の先には、かつて弟と共に楽しんでいた懐かしい光景があった。雪の上を滑る吹雪を、弟が追い越して先へ進んでいく――。

「なんだ、結局遊びの延長じゃねえか」

そこへ染岡の声が聞こえてきた。
吹雪と鬼道は声のする方を向く。

「俺達雷門イレブンの特訓は遊びとは違う。苦しい特訓を越えて強くなることに意味があるんだ!」

「やっぱりそういうの疲れるなあ」

「なに!?」

染岡はまたしても吹雪に噛み付くように言った。しかし吹雪も吹雪でなんら気にせずに言葉を返すので、染岡の感情はすぐ沸点に達してしまう。彼は拳を握って吹雪を睨んだ。