【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ6)

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第55話ページ6

吹雪に言われて雷門イレブンが来たのは、校舎裏にあるゲレンデだった。
吹雪が滑るのを待っている円堂は、滑走路の脇で大きな雪玉を構える白恋イレブンを目にして「ん…?」と首を傾げる。しかし彼の意識は姿を現した吹雪へ向いた。ヘルメットを被る彼の足にはスノーボードが装着されている。

「スノーボードか!」

「それでどうやって…」

「まあ見ててよ! 雪が僕達を風にしてくれるんだ」

一見サッカーとは何の関係もなさそうなスノーボードが、一体どう特訓になるというのか。懐疑的な眼差しを向ける風丸に微笑むと、吹雪は早速滑り始めた。

「わっ、はやーい!」「かっこいいっス!」「やるなあ、吹雪!」吹雪の颯爽と滑る姿に、雷門イレブンは目を輝かせる。暗い表情をしていた風丸もそのスピードに見入っていた。

「吹雪君は小さい頃からスキーやスノーボードが得意で、よく遊んでたんだって」

荒谷によると、走るよりも滑る方がスピードが出て風を感じられるから好きだと吹雪は話していたらしい。

彼女の話を聞いて、風丸は「風か…」と呟く。思えば陸上部に所属していた頃は純粋に走ることを楽しんでいたが、エイリア学園が現れてからは相手のスピードに追いつけない劣等感ばかりを抱いて風を感じることを忘れていたのかもしれない。

「皆ー! よろしく!」

「「はーい!」」

吹雪の声に白恋イレブンは声を揃えて返事をする。一体何をするつもりだろうか、考える間もなく彼らは雪玉を滑走路へ突き落とした。
雪玉は猛スピードで転がっていき、前を滑る吹雪の背後に迫る。思わず「危ない!!」と円堂が声を上げるが、吹雪はこれを読み切っていたのか華麗に飛んで躱してみせた。

「すげーな! 雪玉のめちゃめちゃな動きを完璧に見切ってるぜ」

『うん、まるで空からゲレンデを見てるみたい…』

「吹雪君が言うには、速くなればなる程感覚が研ぎ澄まされて、自分の周りのものがはっきり見えてくるんだって」

なるほど、あの速さの中で雪玉を見ているのではなく、あの速さだから雪玉が見えるということか――吹雪レベルのスピードではないために彼の見ている世界は分からないが、雪の上を滑る姿がそれを証明しているような気がした。一之瀬は「たしかに速いよ!」と荒谷の話に頷く。

「この特訓面白そう!」

「ああ! 俺もやりてえ!」

塔子と円堂は楽しそうに雪を滑る吹雪を見て、自分達も早くやりたいとうずうずしていた。