【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ50)

今日:20 hit、昨日:42 hit、合計:10,050 hit

第99話ページ50

「だったら俺の目がおかしいのかなあ」

「貴様…ｯ! 誰がいるっていうんだ、誰が!!」

「おいおい、教えちまったら面白くないだろ? 着いてからのお楽しみさ」不動のわざとらしい言い方は、彼の思惑通り鬼道の神経を逆撫でする。耐えきれなくなった鬼道が声を荒げるので、不動はククッと笑い声を喉から漏らした。

「あんたもな」

『ｯ!!』

表情はそのままに、不動は突如如月に視線を向ける。2人のやり取りを不安気に注視していた如月は、まさか自分にも彼の意識が飛び火するとは思っておらず、彼の視線でその場に縫い付けられたかのように体を凍り付かせた。

「どういうことだ…?」不動の発言に雷門イレブンは顔を顰める。円堂に問われた如月は、掠れた声で『…大丈夫、行こう』と返すだけで精一杯だった。

どくんどくんと、心臓の音が耳のすぐ側で鳴り響く。

＊

コンビニからキャラバンを走らせること数分、不動の案内で着いたのは埠頭だった。学校が建つような場所ではなく、ぞろぞろとキャラバンから降りる雷門イレブンは辺りを見回した。

「どこにも学校なんかないじゃないか」

「てめえ!! やっぱ俺達を騙したのか!!」

「短気な奴だなあ。真･帝国学園だったら、ほら」

怒る染岡を軽く遇らい、不動は海の方を指差す。静かな埠頭に似合わない地響きを感じて如月が瞳子のジャケットの裾を僅かに握った瞬間、海面が大きな音を立てて飛沫を上げた。

海から飛び上がるように現れた巨大な潜水艦は、再び大きな音を立てて着水する。予想だにしなかった校舎の出現に一同が言葉を失っていると、潜水艦から長い階段が伸びて埠頭に渡された。奥から姿を見せた影山は、にやりと笑って円堂から鬼道へと視線を移す。

「久し振りだな、円堂。それに鬼道」

「影山あｯ!!!」

「もう総帥とは呼んでくれんのか」影山は首を横に振って残念そうな素振りを見せた。しかしそんなことは鬼道には関係ない。「今度は何を企んでるんだ!!」彼は拳を握って声を上げた。

「私の計画はお前達には理解できん。この真･帝国学園の意味さえもな。私から逃げ出したりしなければお前には分かった筈だ」

「俺は逃げたんじゃない! あんたと決別したんだ!!」

鬼道は影山を指差して言い切った。冷静ではない彼の様子に、影山は口角を更に上げる。サングラスの奥にある目は、嘗ての教え子を静かに捉えて不気味に弧を描いた。