【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ47)

今日:21 hit、昨日:42 hit、合計:10,051 hit

第96話ページ47

それもその筈、漫遊寺中にいると思っていた木暮が鞄の山の影に身を潜めていたのだ。両膝を抱えて最後部座席の端に座る彼は、雷門イレブンが「ええーっ!?」と声を揃えたのを聞いて「うっしっしっしっしっし!」と悪戯っぽく笑う。
それを見た音無は、嬉しそうにも見える表情で「あはは…」と笑い声を溢した。

＊

漫遊寺の監督の了承を得たことで、木暮がイナズマキャラバンに参加することが正式に決まった。
目金のフィギュアや栗松の雑誌に落書きをしたり、円堂の両足の靴紐を結んで転ばせたりと彼の悪戯は止まる所を知らないが、これから賑やかになりそうだと如月の表情が柔らかくなる。

『ふふ…』

音無の怒号をどこか懐かしく感じていると、誰かの携帯から着信音が鳴った。瞳子が胸ポケットから取り出した携帯を開くと、“響木さん”と表示されたメールの受信画面が現れる。
「響木さんからだわ」そう言って瞳子は開いたメールの本文を読み上げた。

「“影山が脱走し、愛媛に真･帝国学園を設立した”…!?」

『ｯ…!!』

「なんだって!?」

信じられない情報に、雷門中サッカー部の面々は驚きを隠せない。如月の体は恐怖で震えだし、金縛りに遭ったかのように動けなかった。
「あいつ、まだ性懲りもなくそんなことやってんのかよ…!!」「しかも、真･帝国学園だって…!?」キャラバン内は騒つき始めるが、鬼道には周りの声が聞こえていないのか彼はただ怒りに拳を震わせるだけだ。普段冷静な鬼道が感情を露わにしていることを珍しく思い、塔子が「鬼道…?」と顔を覗く。

「よし、愛媛に行こう!」

「ああ。影山のやろうとしていることをぶっ潰そう!!」

「そうよ! あいつを許しちゃいけないわ!」

影山に対してやけに感情的な反応を、塔子･吹雪･木暮は不思議そうに見つめる。「なあ、影山って中学サッカー協会の副会長だったんだろ?」一体何が彼らをそうさせるのか、分からなかった塔子が訊ねた。

「そうだ。そして帝国学園の総帥だった。……俺達の、チームの…」

「そんな人を、何故倒さなきゃならないんだ?」

鬼道は視線を落とす。塔子の質問の答えを聞こうと、吹雪と木暮も塔子達の方へ体を向けた。

「勝つためには手段を選ばない奴だったんだよ!」

「それも、自分の手は汚さず他人を使って相手チームを蹴落とそうとする」

影山のことは“中学サッカー協会副会長”としか認識していなかった塔子も、その情報に「きったねえの…」と顔を顰めた。