【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ42)

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第91話ページ42

「だが、お前達は勝負のその日まで、果たして生き残っていられるかな…?」

デザームの意味深な言葉と表情に、鬼道は「どういう意味だ…!」と立ち上がる。座り込んで肩で息をする塔子が顔を上げた時、デザームは足を振り上げた。
その瞬間、凄まじい威力のシュートが雷門ゴールを目掛けて突き進んでいき、彼がボールを蹴ったことに気付かされる。

「ふざけるなあｯ!!!」

渾身のシュートを易々と止められて納得していない吹雪は、たった3分で勝手に勝負を決めようとするデザームへの怒りに身を任せてシュートへ突っ込んだ。しかしその威力を前に敵う筈もなく、吹雪はあっけなく弾き飛ばされてしまう。

他の雷門イレブンも自身の身を守るので精一杯で、吹き飛ばされないように踏ん張っている。

「木暮ーｯ!! 伏せてろー!!!」向かって来るシュートから逃げるように走る木暮に向かって、円堂が声を張り上げた。
「避けきれないわ!!」「木暮君!!」マネージャーは暴風から身を庇うように腕で顔を覆う。円堂達の声は、風の音に掻き消されて木暮には届かない。

「うわあｯ!!」

叫びながら全力でボールから逃げていた木暮は、倒れている壁山に気付かなかったようだ。彼の脚に躓いて転んだ木暮は、向かってきたボールを自身の足に巻き込むかたちで頭を軸に回転した。

「「あ…!!」」

木暮の回転は竜巻を纏い出す。何やら普通ではないことが起こっている様子に、円堂も漫遊寺イレブンも目を見開いた。
いつの間にかデザームのシュートによる暴風は木暮の竜巻に吸収されており、音無は「え…?」と顔を上げる。竜巻は徐々に収まっていき、頭を下に回転を失っていく木暮の姿が現れた。

「―――でｯ!!」

ぽてん、とボールの落ちる音から一拍空いて木暮が全身で着地する。「いててて…」膝と手をついて起き上がると、異変に気付いて「あれ」と首を傾げた。

「消えた…!?」円堂が晴れてきた視界に向こう側を見た時、イプシロンの姿はどこにもなかった。ピッチの中央に真っ直ぐ引かれた1本の跡がシュートの威力を物語っているだけだ。

「イプシロンがいない…」

ぽつりと溢した木野の言葉で我に返った夏未は、手に握っていたストップウォッチを確認した。シュートに驚いて止めることを忘れていたが、デザームの宣言通り3分経っていた。