【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ41)

今日:20 hit、昨日:7 hit、合計:10,008 hit

第90話ページ41

鬼道の指示でボールをカットしようと一之瀬と染岡が向かうが、それぞれモールとタイタンに行く手を阻まれてしまう。
スオームが受け取ったボールはファドラからクリプト、メトロンへと確実に繋がれていった。

「木暮、お前も!!」

「無理!! 絶対無理…!!」

鬼道の指示を、木暮は両手を大きく振って拒む。その間にボールはゼルヘ渡った。左手を翳すボールに紫色の力が集まる。

「ガニメデ、プロトン!!」

後ろに引いた両手に溜まった力を解き放つようにボールへぶつけた。シュートは閃光と共に光の速さでゴールへ迫る。

「ゴッド―――」円堂が突き出そうとした右手は、鬼道の「間に合わん!!」の一言で制止された。円堂は捻った体勢から爆裂パンチを繰り出し、無数の拳をボールに捩じ込む。しかしシュートの威力に敵わずゴールを許してしまった。

「くｯ……!!」

シュートの感覚を反芻して震える手を握り締め、円堂は悔しさにゼルを睨んだ。
「開始より1分。残る2分、更に楽しませてもらおうか」デザームは雷門イレブンを見据える。その様子を、校舎から1人の少年が眺めていた。

＊

試合開始から3分が経とうとしていた。この時点で雷門イレブンはイプシロンの攻撃を受け続けて満身創痍であり、木暮ただ1人がボールから逃げるためにピッチで動き回っていた。

「逃げ足だけは天才的ね…」

「木暮君、しっかりして!! 逃げてばっかりじゃ駄目よ!!」

音無はベンチから声を上げるが、肝心の木暮本人には届いていないようだ。夏未の言う通りボールを避ける能力だけは長けているようだが、ピッチの彼を見つめる木野は「…木暮君って、見えてるからこそ完璧に躱すことができるのかも」と溢した。

その言葉にハッとした音無は、隣の木野へ移した視線を再びピッチに戻す。ベンチの面々が息を切らしてへたりこむ雷門イレブンを見て拳を握る中、何かに気付いたデザームはふと校舎の方へ視線を動かした。

「間もなく3分。我らは次の一撃をもってこのゲームを終了する」

デザームの様子に気付いた瞳子は彼の目線を辿る。その先にいる1人の少年を見付けると、眉を顰めて隣に座る如月を守るように彼女の前へ静かに手を出した。しかし体を震わせる如月はそれに気付かない。

「聞け、人間ども! 我らは10日の後に、もう一度勝負をしてやる」

人差し指を立てて前に突き出したデザームに、円堂は痛む腹を押さえながら「10日…?」と体を持ち上げた。