【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ40)

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第89話ページ40

壁山と塔子がなんとか防いだシュートは大きく弾かれる。溢れ玉を拾おうとした吹雪は、メトロンとスオームのマークを振り切るように高く飛んだ。

「「吹雪…!!」」

しかし、2人も吹雪にボールを取らせまいと空中でもマークに付く。皆が固唾を呑んでボールの行方を見守る中、吹雪はマフラーを握って1回転した。刹那、瞳の色がオレンジ色に変わる。

「貰ったぜ!!」好戦的な笑みを浮かべると、メトロンとスオームを踏み台にして高く飛び上がった。予想外のプレーに2人が驚く間もなく、ボールに追い付いた吹雪はエターナルブリザードを繰り出す。

「いっけえ───!!」

今度はイプシロンへ距離のある位置からのシュートが放たれた。デザームはこれをどこか待ち望んでいたような表情で捉えると、静かに大きな左手を前へ突き出す。
吹雪のシュートがその手に到達すると、エターナルブリザードの青い光とデザームの手から発せられる紫の光が拮抗した。

『……ｯ』

誰もがその光景を見つめる中、デザームの足が僅かに後ろへ押される。次の瞬間、衝突していた互いの力が耐えきれなくなったのか爆発が起きた。
それを見た吹雪は、ゴールを確信して自信に満ちた表情で振り返る。しかし、煙が晴れるとデザームの手元に収まったボールが露わになった。

「な…なにｯ!?」

「「…!!」」

あのエターナルブリザードが必殺技も使わずに片手で止められてしまったことに、雷門イレブンは驚きを隠せず言葉を失う。イプシロンがこれを当然の結果とでも言うようにニヤリと笑む中、デザームはただ1人手元のボールを険しい表情で見つめていた。

「エターナルブリザードを…」

「止めやがった…!」

円堂と染岡が溢す。しかし、フィールドの中で最もこの結果を受け入れられないのは吹雪本人だった。彼は眉間に深い皺を寄せて「あり得ねえ…!!」とデザームを睨む。

「敵ながらいいシュートを打つ。気に入ったぞ」

「……褒めてくれてありがとよ」

シュートを止められてしまったのでは、デザームの賛辞も喜べるものではなかった。吹雪の声には悔しさが滲み出ている。

「お前達は我らエイリア学園にとって大きな価値がある。残り2分20秒、存分に戦ってもらおう」デザームは口角を上げてそう言うと、力いっぱいにボールを投げた。