【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ38)

今日:5 hit、昨日:42 hit、合計:10,035 hit

第87話ページ38

「聞け、雷門中!!」デザームはチームメイトを制止するように声を上げた。

「破壊されるべきは漫遊寺中にあらず。我らエイリア学園に刃向かい続けるお前達、雷門イレブンと決まった」

「勝手に決めちゃってるよ…」

「漫遊寺中は6分で片付けた。だが、お前達はジェミニストームを倒した――その実力を称え、3分で決着とする。光栄に思うが良い」

苦笑する一之瀬も構わずデザームは続けた。3分で勝負を終わらせるという衝撃的な発言に、円堂は堪らず「3分…!?」と対面する先に立つデザームを睨む。

「だからなんで勝手に決めちゃうかな…」「ほんっと腹立つな。あたしそういうの大っ嫌い!」それは他の雷門イレブンも同じようで、土門と塔子も不快感を露わにした。
そんな彼らとは対照的に、吹雪は「だったら、僕達も3分で片付けちゃおうよ!」と笑顔を見せる。いつも通りマイペースは健在である。

「エイリア学園ファーストランクチーム･イプシロンの力、思い知るがいい!」

キャプテンのデザームをゴールに構え、イプシロンのメンバーはニヤリと口角を上げて雷門イレブンを見据える。彼らの放つ雰囲気に圧され、木暮は体を震わせた。

「3分だなんて…」「それだけ私達に対して本気なのよ」ベンチの木野と夏未も緊張感に拳を握る。夏未の言葉に瞳子が頷いて続けた。

「でも漫遊寺戦の6分間で、イプシロンがどんな戦い方をするかは掴めたわ」

「「ええっ…!?」」

あの短期間で相手の戦術を見抜けたのか、とベンチに座る面々は驚きの声を上げた。顔を覗き込まれた瞳子は、ピッチに向けた視線をそのままに話し始める。

「ジェミニストームは、スピードで押してくるチーム。それに比べて漫遊寺中で見せたイプシロンの戦いは、的確にFWを封じて相手の攻撃を削いでくる」

漫遊寺が敗れたのは、満足にプレーをさせてもらえなかったから。瞳子が言い終えたのを見て、如月はデザームを静かに見据えた。

自分達の身体能力を武器にするだけでなく、相手の攻撃の芽を摘んで勝利を確実なものにする――物事を俯瞰して見ることのできる治らしい戦い方だ。
如月はお日さま園で周囲をよく見ていた彼の姿を思い出した。

―――はい、玉葱切れたよ。次はどうしたらいい?

―――そうだな、豚肉と一緒に炒めてくれ。おい晴矢、摘まみ食いするんじゃない。

―――げっ…!

背中にも目ぇ付いてんのかよ、と耳の奥で南雲の声が聞こえてくる。如月は寂しそうにデザームの横顔に目を細めた。