【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ34)

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第83話ページ34

「なんてボール捌きだ…!」

「これならイプシロンに勝てるかもしれないっス!!」

試合開始早々、漫遊寺イレブンはキレのある動きを見せた。イプシロン相手に披露されるそのプレーに、彼らならイプシロンと渡り合えるのではないかと雷門イレブンは希望を見出す。

しかし、一之瀬と壁山の声を聞いていたデザームは「…愚かな。6分で片付けてやる」と怪しく笑った。その言葉に鬼道が嫌な予感を覚えたのと同時にイプシロンは動き出す。

「竜巻旋風!!」

上がっていく阿太郎が繰り出した必殺技によって土煙を纏った竜巻が起こった。これによってクリプトは吹き飛ばされる――と思われたが、彼女は竜巻を軽々と突破してしまった。
そのまま阿太郎からボールを奪うと、吽助と影田もあっさりと抜いて上がっていく。

次に立ちはだかる学舎の前で立ち止まると、クリプトは視線を動かさずにボールを踵で真上に蹴り上げた。こうなることが分かっていたのか、2人を飛び越えていくマキュアの足元にボールがぴたりと収まる。

「四股踏み!!」

真仮名井の必殺技によって発生した暴風の中を、マキュアもまた物ともせずに突き進んだ。
まるで風の抵抗を受けていないようにスピードを落とさずに上がっていくと、脚を振り上げることもせずボールを蹴る。マキュアが軽々と蹴ったボールは弾丸のような速さで突き進み、真仮名井諸共ゴールに突き刺さった。

「…ふん」

この程度か、とでも言うようにマキュアは嗤う。このゴールを皮切りに、イプシロンは猛攻を見せ始めた。たった2分前に雷門イレブンの表情に光を灯した漫遊寺イレブンのプレーは、イプシロンに全く通用しない。
彼らの攻撃を受け続けた漫遊寺イレブンは倒れていき、最後まで踏ん張っていた影田も遂に力尽きてしまった。

「む、無念だ…」

漫遊寺イレブンは誰も立ち上がることができず、試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。スコアボードは15対0と、イプシロンの圧倒的な力を示していた。

フットボールフロンティアの優勝候補になり得るとも言われる彼らが手も足も出なかった状況に、校舎から試合を見守っていた生徒達は言葉を失う。

「あいつら、本当に6分で決めやがった…」

「これがファーストランクチームの力…!」

「ジェミニストームとは比べ物にならないくらい強いでやんす!」

想像を遥かに超えるイプシロンの力にさすがの雷門イレブンも怖気付いた様子だった。ただ1人を除いて――。