【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ32)

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第81話ページ32

「相手はエイリア学園のファーストランクチーム。こっちももっと特訓して、強くならないとな!!」

『…!』

未知の敵に怯むことなく、どこまでも前向きな姿勢を見せる円堂の心持ちに如月はハッとする。そうだ、彼はこれくらいのことで諦めるような人ではなかった――白恋中を発ってからどこか沈んだ表情をしていた如月の顔付きが穏やかになっていく。

その場にいたメンバーが声を揃えて「おう!!」と笑顔で頷くので、如月もつられて口角が上がっていた。

「そうと決まれば、早速練習場所を探そう!」

「練習場所ならあるよ」

暫く姿が見えなかった吹雪の声が聞こえ、一同はそちらに顔を向ける。昼間とは違う2人の女子生徒を侍らせた彼は「この向こうに川があって、その河川敷でならサッカーできるって」と続けた。ね、と吹雪に笑顔を向けられ、2人は顔を赤くして「はい!」と頷く。

「また何かあったらよろしくね」

「「はーい!」」

昼間と同じ光景に、一同は「ははは…」と乾いた笑い声を出すことしかできなかった。

＊

すっかり日が暮れ、皆が寝静まった夜。如月はテントの外に出て、塀を背もたれにジェミニストームのことをぼんやりと考えていた。

―――…ばいばい、加澄。

私が試合に出たことで、皆の追放に加担してしまったのではないか。消える直前のレーゼの顔を思い出して、如月の膝を抱える腕にきゅっと力がこもる。深い溜息を吐きながら腕の中に顔を埋めた。

―――お前達を追放する。

デザームは怪しく笑ってジェミニストームを何の躊躇もなく消し去った。お日さま園で過ごした日々が嘘だったかのように思えてしまい、如月はそんなデザームのことが信じられなかった。

追放なんて、私がエイリア学園にいた頃は聞いたことがなかった。皆は今どこにいるのだろう。また暗い部屋に閉じ込められるように厳しい練習を課されているのだろうか。それとも、何もないところに閉じ込められているのだろうか。もしかして、本当に宇宙に飛ばされてしまったのではないか――ここまで考えて、それはないかと顔を上げる。

いくら父さんが世界征服に執心しているからといって、流石にリュウジ達を本当に消し去るようなことはしない筈だ。そう思いたい。

如月の不安を煽るかのように星が煌めく。考え得る最悪の状況を肯定された気分になり、嫌になった如月はそれを拭うようにリストバンドに額を擦り付けた。