【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ31)

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第80話ページ31

「私達がサッカーをしているのは、あくまで心と体を鍛えるため。争うためではないので」

なるほど、彼らが戦わないというのは学校のモットーに適った理由だった。しかし、影田が「彼らには、私達に戦う意思のないことを話してお引き取りいただきます」と続けたので、円堂は思わず「お引き取り…?」と戸惑う様子を見せる。染岡は堪らず立ち上がった。

「お、おい!! お前ら話聞いてたのかよ!? そんな話が通じる相手じゃねえって言ってんだろ!!」

彼の言う通り、エイリア学園は話をして分かってもらえるような相手ではない。現に傘美野中は、創部したてで強くないからと話をしても聞き入れてもらえなかった。
けれどもそんなことを漫遊寺イレブンが知っている筈もなく、影田は染岡の目を見てはっきりと告げる。

「それはあなたの心に邪念があるからです」

「じゃ、邪念…?」

思いもしなかった返答に、染岡までもが戸惑って体を引いた。
影田があまりにも真っ直ぐに「心を無にして語り掛ければ、伝わらぬことはありません」と言うので、染岡は反論することもできずに「な、なんだよこいつら…」と溢すことしかできなかった。

彼らにこれ以上何を言っても無駄であることは明白であり、雷門イレブンは口を噤んでしまう。それを見た影田はスッと立ち上がった。他の漫遊寺イレブンも彼に続き、全員立ち上がると手の平と拳を胸の前で突き合わせる。

「では、失礼いたします。修行の時間ですので」

そう言って軽く頭を下げると、円堂の引き留める声も聞かずに彼らは部屋から出て行ってしまった。

＊

学校の敷地内に停めていたキャラバンに戻った雷門イレブンは、近くに腰を下ろして話し合いをしていた。
キャラバンを挟んで反対側ではマネージャー達が夕飯の支度をしており、聞こえてきた夏未の「皮剥きでこんなに実が残ったの初めて!」という発言に如月は親近感を覚える。

「で、どうする?」

風丸の声で如月は意識をこちら側に取り戻した。
「どうするって言われても、漫遊寺があれじゃあな」「ぜんっぜん分かってないんだもんな〜…」染岡も塔子も漫遊寺イレブンを説得するのは諦めている様子だ。

どうすることもできないと思われていた時、ずっと何かを考えていた円堂が顔を上げた。

「考えても仕方ないさ。俺達は俺達で、今できることをするだけだ!」

『できること…?』

円堂の言いたいことが分かっていたのか、風丸は「特訓だな?」と笑みを見せる。円堂はそれに頷いた。