【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ28)

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第77話ページ28

折り重なって倒れる雷門イレブンを見て、間に合わなかったか…と如月は額に手をあてる。彼女と同じく一部始終を見ていた木野と鬼道は「はは…」と乾いた声を溢した。

3人の後ろを歩いていた音無や吹雪も「すごい音がしましたけど…」と顔を覗かせる。倒れた雷門イレブンを見て状況を把握した夏未が「なにしてるのよ、まったく…」と呆れていると、風丸と壁山の下敷きになっている目金が「重い重い重いー!!」と声を上げた。それを聞いた如月が彼らのもとへ駆け寄る。

『立てそう?』

「ああ。ありがとう…」

上にいた風丸の手を引くと、次に起き上がらせるべくは壁山だった。如月の後に続いた鬼道と吹雪にも手伝ってもらい、3人で壁山を引っ張り上げる。問題の目金は足を捻ってしまったようで、一之瀬は肩を貸して彼を廊下の端の方へ座らせた。
そこへ壁山が申し訳なさそうにやって来て目金の前に正座する。彼の足を診るために音無もその場へ腰を下ろした。

「だいじょ――」

「大丈夫じゃないですよ!!」

「ですよね…」

音無の言葉を遮り、目金は「グキって言いましたよ、グキって!!」と自身の足首を指差す。仕方なかったとは言え、彼に怪我を負わせてしまったことに「す、すみませんっス…」と壁山は大きな体を縮こまらせた。

お日さま園でよく晴矢が姉さんから言われていた通り、廊下は走るものじゃないな――そう思いながら如月は円堂が転んだ方の廊下に目をやる。不自然に艶々と輝く箇所があった。

『あそこだけ妙に光ってるような…』

如月の声が聞こえたのか、塔子は「ほんとだ」と言ってそこを触る。彼女が「なんでここだけツルツルしてんだよ」と不思議そうに言うので、気になった木野も確かめるように床に触れた。この感触に心当たりがあったようで、木野は「これって、ワックスじゃないかしら」と塔子に答える。

どうしてここにだけワックスがかけられているのだろうと雷門イレブンが首を傾げた時、草陰の方から「うっしっし! ざまあ見ろ!」と声が聞こえた。

「フットボールフロンティアで優勝したからっていい気になって!」

声の主は、種明かしをするかのように“つるピカール”と書かれたワックスを手に持ってそう言う。悪戯っ子のように笑う彼の言葉にカッとなった塔子が「お前、よくもやったな!!」と廊下の手すりから身を乗り出すと、少年は背を向けて逃げ出した。それを見た塔子が追いかけようと外に下りると、今度は彼女の悲鳴が聞こえてきた。